研究実績の概要 |
令和3年度は研究代表者とニューヨーク大クーラン研究所のColin McSwiggen氏とともにコンパクトLie群の(co)adjoint orbits上で一様測度に従うランダムな要素への射影を研究した。これはランダムな場合のHorn問題やランダムな場合のSchur問題, orbital corners processなどを統一的に見る視点を与えてくれた。また一般的な設定でその確率密度関数に対して積分公式を与え、その確率密度関数の性質を調べた。さらに、表現論のmultiplicity problemsとの関連を調べた。また、応用として量子情報理論で頻繁に議論されているquantum marginal problemsと呼ばれる問題で特にChristandl, Doran, Kousidis and Walter(Commun. Math. Phys. 322 (2014), 1-52)ら研究を進めている量的な解析にこの結果を応用し、restriction multiplicitiesに対する積分公式を示した。その結果を「Projections of Orbital Measures and Quantum Marginal Problems」(arXiv:2112.13908)としてまとめ専門誌へ投稿した。これらの結果を発展させ、最近Belinschi, Guionnet and Huang(arXiv:2004.07117)が示したような、ランダムHorn問題、ランダムSchur問題の大偏差原理の研究を一般化し、量子情報理論の研究へ応用できる形にできるよう研究をさらに深めている。
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