レーザーとARPESの両技術の高度化に伴い、低光子エネルギー域の光電子放出現象を高精度で観測することが可能となってきた。本研究では固体表層からの低エネルギー光電子放出現象を精査するプラットフォームを整備し、仕事関数を高精度で測定する方法を開発した。(1)光電子分布をブロッホ電子分布に変換するソフトウェアを開発し公開した。“スリットレス”分光器のデータ変換にも対応する。(2)小型のファイバーレーザー光源を汎用化した。通常の実験環境(清浄度や防振は不要)で動作する。(3)(2)を用いてAu(111)の最低速光電子のARPES測定に成功し、仕事関数を未踏の1 meVの精度で測定する方法を開発した。
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