通常、電子格子相互作用によるフォノン散乱は、電子系のコヒーレンスを乱す悪役としての印象が強い。本研究では、電子格子相互作用を積極的に活用し、電子と格子が結合した1つの系として扱うことで、フォノン散乱によるデコヒーレンスなどの問題点を克服し、電子格子結合系全体の量子性に着目するという新たな視点での研究を進めた。これは、電子フォノン結合系での共振器量子電磁力学の創生を目指すもので、その学問的な価値は非常に高い。本研究では、フォノン励起によるラビ分裂の観測により、一定の成果に達したものと考えている。今後、素子構造の改善などで真空ラビ分裂の観測に至ると、より学術的・社会的価値が明確になると期待する。
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