トポロジカルプレーナーホール効果の探索を行ってきたが、トポロジカル性を壊さない程度の弱結合で、かつホール効果を誘起するために十分な磁場をトポロジカル絶縁体に作用させるような最適な強磁性体/絶縁体/トポロジカル絶縁体の接合系を実現することに非常に苦労した。
ポイントは絶縁体の薄さと絶縁性であるが、絶縁性に重心を置きすぎると磁性の作用が弱まり、逆に十分な磁場がトポロジカル絶縁体に印加できるほうに重心をおくと絶縁性が弱まる、という互いにトレードオフの関係にあることが研究期間中に明らかになった。そのため、現状の技術で明瞭なトポロジカルプレーナーホール効果を明確に発現させることは容易ではないことが明らかになった。
一方、本研究のバイプロダクトとして、トポロジカル絶縁体のトポロジカル性を室温まで観測することに成功したことは、転んでもただでは起きない、という意味で有意義であった。特にスピン偏極観測とスピン偏極生成をオンサーガーの相反定理を満たす形で室温まで観測できたことはトポロジカル絶縁体物性の発展に重要であると考える。
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