本研究では、p波スピン三重項の可能性が指摘されたBiとNiの二層薄膜に着目し、スピン輸送測定を行うことで、Bi/Niがトポロジカル超伝導体であることを実証する。さらにこのトポロジカル超伝導体を用いて、巨視的波動関数の位相を任意に変調できるトポロジカルジョセフソン接合の創製を目指した。Bi/Niのスピン拡散長は3 nmで、Ni層に磁性があることと一致する。さらにスピンホール信号は、超伝導転移温度以下で約1000倍増幅した。観測されたスピンホール信号の形状は、s波超伝導体とは大きく異なることが分かった。現在、Bi/Niを用いてジョセフソン接合を作製し、臨界電流とNiの磁性との関係を調べている。
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