本研究の目的は、非破壊パルス電磁石を用いて磁束を濃縮する新しい磁場発生技術を確立し、人類が未だ成し得ていない電磁石の破壊・変形を伴うことの無い100テスラの磁場発生と、その磁場下での磁化測定を実現する事である。パルス磁場下の金属には、磁束の浸入を妨げるための遮蔽電流が誘起される。この時、排斥された磁束が残された非金属領域に集中すると、元の磁場強度を上回る局所的強磁場の実現が期待できる。この考えをもとにして無酸素銅製の治具を作成し、パルス磁場中に挿入する実験を行ったところ、約5テスラの初期磁場が約10テスラまで増加する、約200パーセントの磁場増強が可能であることを実証した。
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