研究成果の概要 |
新しい物理学の発展をもたらす超流動体の創出を目的として、本研究では水素分子薄膜の超流動化を目指した。水素薄膜に強静電場を与えて流体状態を低温まで保持し、超流動化を図ることを計画した。この実験の前に水素薄膜の量子性を調べるために3種類の同位体(H2,HD,D2)薄膜の弾性測定を行い、異なる温度3箇所で弾性異常(弾性率の増大と散逸の極大)を発見した。その解析から、薄膜の最表面では低温まで水素分子が流体として保持されるが1Kで固化することが初めて明らかになった。これは、固体水素の最表面が超流動寸前の状態にあることを示唆しており、水素薄膜を人工的に超流動化する手法の開発につながる重要な成果である。
|