研究実績の概要 |
この研究ではニューラルネットワークを用いた機械学習(人工知能)を使って,物質の性質を明らかにする。特に多層の畳み込みニューラルネットワークを使った画像認識により,量子相転移を調べる。この科研費の申請後,申請者は早速この研究に取り掛かり,交付内定前に,このアイデアが2次元のトポロジカル絶縁体と絶縁体の転移,アンダーソン絶縁体と金属の転移に有効であることを示した。また,3次元系に対しても,ある方向について確率密度を積分して,2次元画像に落とし込む方法が機能することを示している(T. Ohtsuki and T. Ohtsuki, Deep learning the quantum phase transitions in random two-dimensional electron systems, Journal of the Physical Society of Japan, 85 (2016) 123706 (Papers of Editor's Choice), Deep learning the quantum phase transitions in random electron systems: Applications to three dimensions, Journal of the Physical Society of Japan, 86 (2017) 044708)。 科研費交付後は,このアイディアをさらに発展させ,3次元の多層の畳み込みニューラルネットワークを使った画像認識により,3次元のアンダーソン転移を研究し,これにより量子相転移の相図が様々な場合に描けることを実証した。また,アンダーソンモデルで訓練したニューラルネットワークは,ガウス型,コーシー型の確率密度を持つランダムポテンシャルの場合のアンダーソンモデルや,量子パーコレーションにおける相図を描くことができることを実証した。
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