研究課題
本研究では,近年分担者らによって開発が進められている高強度テラヘルツ波光源の同調可能範囲(約 1~3 THz)が低温領域でのソフトモードの周波数域をカバーできることに着目し,高強度テラヘルツ波レーザーによって赤外活性なソフトモードを共鳴励起して,その状態密度を人為的に増大させ,熱励起下では実現が困難な熱波動(第二音波)の理想的な存在条件を引き出すことを計画している.チタン酸ストロンチウムはテラヘルツ波に対して大きな屈折率を示すことから,真空中からのテラヘルツ波入射において大きなフレネル反射損失を持つことが大きな問題の一つであった.前年度に,シリコンのウェハとチタン酸ストロンチウムを接触させ,反射防止膜の原理により,特定の周波数のテラヘルツ波の反射率を抑制することに成功したので,令和元年度は,この手法によってチタン酸ストロンチウムに効率よくテラヘルツ波を入射できるようになった.また,テラヘルツ波の入射時にソフトモードが励振されていれば,光第二高調波発生が起こると考えられる.そこで,テラヘルツ波と同時に1064nmの近赤外光をチタン酸ストロンチウムに入射し,その第二高調波である532nmの光を検出する実験を行った.また,ソフトモードの励振を確認するため,ハイパーラマン散乱分光システムを新たに構築した.第二高調波発生実験ではシリコンウェハ側からテラヘルツ波を,チタン酸ストロンチウム側から1064nmのパルスレーザー光を入射したが,1064nmがシリコンで吸収され,シリコン内にフォトキャリアが生成されてテラヘルツ波に対する反射防止効果が低下するという新たな問題が発生した.そこで,チタン酸ストロンチウム試料の側面を研磨して1064nm光がチタン酸ストロンチウム試料の面内だけを伝播してシリコンに入射しないような配置での実験,およびハイパーラマン散乱分光実験を続けた.
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 2件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
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