本研究は、スピン偏極STM技術を導入することにより、我々のもつSTM発光分光法にスピン分解能を与える新技術、スピン偏極STM発光分光法(SP-STL)を開発する課題である。1,2年目までにスピン偏極STMの導入とSP-STL確立を実現し、発光物質GaAsにおいて原子スケールでのスピン-光変換ダイナミクス観測に成功した。3年目では、更なる実験と詳細な解析により、SP-STLを用いることでスピン流の緩和ダイナミクスを捉えることが可能なことを、世界で初めて明らかにした。また、こうした個別電子と光の間の角運動量変換とは別に、集団電子(プラズモン)と光の間にも角運動量相関が存在することも明らかにした。
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