研究課題
挑戦的研究(萌芽)
0.1-0.3 eVという超低電子温度再結合プラズマを用いた実験により,振動励起状態を経た二酸化炭素の分解という現象を世界で初めて明確な形で実証し,その総括的反応速度係数は,0.1 eV以上の電子温度の範囲において,電子温度の増加に対して減少することを示した。振動励起状態にある二酸化炭素と水素原子の会合反応によるギ酸の生成を実証することはできなかったが,振動温度の非平衡性を活用した新しいプラズマ反応プロセスの開拓という全体構想の緒を拓くことができた。
プラズマ応用工学
振動励起状態が関与する反応過程の重要性は,本研究で取り上げた気相反応だけでなく,プラズマ支援触媒反応においても重要視されるようになっている。振動励起しか生じない超低電子温度のプラズマ環境を利用し,振動励起状態を経た分解反応が効率的であることを明確な形で実証したことは,プラズマ反応プロセスの学術大系における新しい考え方の実証でもあり,高い意義がある。社会的には,再生可能エネルギーを用いて化学ポテンシャルの高い物質を生成する工業プロセスの効率を高める技術の創出に寄与する成果である。