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2017 年度 実施状況報告書

速度空間トモグラフィーによる速度分布関数のリアルタイム測定法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K18771
研究機関日本大学

研究代表者

荒巻 光利  日本大学, 生産工学部, 教授 (50335072)

研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2020-03-31
キーワード光渦 / プラズマ分光 / トモグラフィー
研究実績の概要

本計測法が通常のレーザー吸収分光法と実験技術として異なる点は,光源として光渦を用いることと,位相特異点近傍の吸収率を高空間分解測定する必要がある点にある.そのため,光強度が急峻に低下する位相特異点近傍で,高精度・高空間分解能で吸収率分布を測定する技術の確立が必須となる.具体的には,位相特異点から半径100μm以内の吸収率分布を高精度に測定することを目指している.平成29年度は,現有の光渦ドップラー分光計測系の画像計測系を改良し,本測定法の基盤技術となる高精度・高空間分解な画像計測系を開発した.光源には外部共振器型半導体レーザー(ECDL)を用い,その出力を偏光保持ファイバに導入し,ビームの空間モードを整える.偏光保持ファイバの出力をコリメートし,空間位相変調器(SLM)へと入射し,ホログラムによって光渦へと変換する.光学部品によるビームモードの劣化を最小限に抑えるため,SLMによる変換後はレンズによるビーム径の調整やピンホールによる回折次数の選択を行わずにプラズマに入射した.プラズマ透過後にビームエキスパンダで光渦を拡大し,吸収画像を計測した.画像計測には光強度の解像度が16bitのADコンバータを採用するCMOS カメラ(CAM1:アンドール社製 ZylasCMOS)を用いた.今年度は画像計測系を完成させ,位相特異点近傍の30μm×30μmの範囲で吸収の微細な空間構造が観測できることを確認した.一方,ビーム伝播にともなう回折によって,吸収の空間構造が変形していることを示唆する結果も得られており,今後,結像系の改良が必要なことも明らかになった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は,当初の予定通り高空間分解の画像計測系を構築し,吸収の微細な空間構造の観測に成功している.一方,光渦の局所的な吸収を正確に画像計測するための光学系が必要なことも明らかになり,その設計も進めており,次年度以降の研究に向けた準備も順調に進んでいる.

今後の研究の推進方策

今年度,必要性が明らかになった結像系の開発を行い,吸収画像をより高精度に観測できる測定系を構築する.また,現在用いているSLMによる光渦生成では,液晶デバイスに表示したホログラムを用いるため,生成された光渦は液晶のリフレッシュに対応した数パーセントの位相変調を含んでおり,比較的大きなノイズ源となっている可能性がある.そこで,SLMを用いる方法からλ/4板と光渦リターダを用いる光渦生成方法に変更して液晶のリフレッシュに起因するノイズ成分を取り除き,画像計測のS/N比を向上させる.十分なS/N比と空間分解能での画像計測法を確立した後,同じ画像計測系をもう1つ追加し,速度空間トモグラフィー測定系を構築する.

次年度使用額が生じた理由

当初購入予定であった長焦点顕微鏡レンズの性能が不十分なことが明らかになり,購入を取りやめるとともに,次年度以降に結像系を研究室にて開発するよう研究計画を修正したため.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] ルール大学ボーフム校(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      ルール大学ボーフム校
  • [学会発表] 光渦吸収分光における特異点近傍での吸収率,位相分布,ドップラーシフトの測定2018

    • 著者名/発表者名
      山本将来,吉村信次,森崎友宏,寺坂健一郎,荒巻光利
    • 学会等名
      日本物理学会 第73回年次大会
  • [学会発表] Inevitable Limitation of Plane Wave Laser Spectroscopy, and a Solution by Using Structure of Light2017

    • 著者名/発表者名
      M. Aramaki
    • 学会等名
      1st Asia-Pacific Conference on Plasma Physics
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Additional Doppler shift in absorption spectrum obtained by laser absorption spectroscopy using optical vortex beams2017

    • 著者名/発表者名
      S. Yoshimura, M. Aramaki, K. Terasaka, M. Y. Tanaka
    • 学会等名
      18th Laser Aided Plasma Diagnostics
    • 国際学会
  • [学会発表] 光渦分光法による位相特異点近傍の方位角ドップラーシフトの分布測定2017

    • 著者名/発表者名
      荒巻光利, 山本将来, 吉村信次, 寺坂健一郎, 森崎友宏
    • 学会等名
      Plasma Conference 2017
  • [学会発表] 光渦分光における横ドップラーシフトの検出2017

    • 著者名/発表者名
      山本将来, 吉村信次, 森崎友宏, 寺坂健一郎, 田中雅慶, 戸田泰則, 荒巻光利
    • 学会等名
      プラズマ科学のフロンティア2017研究会
  • [備考] 荒巻研究室ホームページ

    • URL

      http://aramaki-lab.ee.cit.nihon-u.ac.jp/index.html

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公開日: 2018-12-17  

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