研究課題
プラズマはイオン・ラジカル・電子・光を含む集団であり、生体分子や組織とも相互作用することが知られている。これまでに、麻酔下の成獣哺乳類(ラットやマウス)の大脳皮質に、大気圧プラズマを直接照射すると、本来、大脳皮質には存在しない幼弱な未分化細胞群が照射部位周辺に多数出現することを報告してきた。さらに、こうした未分化細胞は組織内で新しい組織構築を形成するポテンシャルをもつことや、培養すると大量の細胞塊(スフェア)を容易に形成し、ニューロンやアストロサイト、オリゴデンドロサイトなど、中枢神経系細胞に効率よく分化させえることから、すぐれた自己複製能と多分化能を有することを明らかにしてきた。本研究では、大気圧プラズマ照射によって成獣哺乳類の大脳皮質に誘導される未分化細胞の起源となる細胞を明らかにするとともに、プラズマ照射によって中枢神経組織に組織再生をもたらしうるのかについて評価した。特に、数ミリメーターを越える広い範囲を電子顕微鏡で網羅的かつ精細に観察できる広域電子顕微鏡技術を用いた観察研究では、大脳皮質への大気圧プラズマ照射3日後に、血管周囲に骨髄系細胞が侵入する可能性が捉えられた。さらに免疫組織化学法による検討で、脳内へ侵入した細胞の発現分子が同定できた。一方、中大脳動脈を一定時間結紮して作製した脳梗塞モデル動物に対して、大脳皮質表層から梗塞領域へプラズマ照射をおこなったところ、梗塞巣に幼弱細胞マーカーを発現する細胞が多数出現することがわかった。ただし、梗塞巣において明白な組織再生を促すには、プラズマ照射条件(照射強度、照射時間、照射頻度、照射対象領域等)のさらなる最適化が必要であった。
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