研究課題
中性子星のX線観測を主要目的とした Neutron star Interior Composition ExploreR (NICER) は、2017年6月3日にケネディ宇宙飛行センターから SpaceX 社の Falcon9 ロケットにより無事に打ち上げられ、国際宇宙ステーションで観測を開始した。NICERは小型のX線集光系とその焦点面に設置されたシリコンドリフト検出器を組み合わせた1モジュールを56個合わせ、中性子星の星表面からの熱放射に特化した 1.5 keV で過去最高の有効面積を誇っている。NICER は、中性子星の内部の高密度状態方程式の観測的確定を目指した観測ターゲットだけでなく、突発増光した中性子星やブラックホールも含め、複数の天体をすでに観測し、検出器のキャリブレーションを行っているところである。定常重力波の発生源かつ検出可能な候補の筆頭である「さそり座 X-1」 は非常に明るく、検出器の調整が必要のため、年度末に調整を行っている段階である。可視光との同時観測が可能であるかも検討を進めている。一方で、超小型衛星に向けた検討も進めており、高レート観測に適するシリコンドリフト検出器を選択し、実際に購入して、読み出し部分の実験室モデル作成を進めている。本プロジェクトとは別の雷雲や雷からの放射線測定のために開発された読み出し用の電子回路ボードを現在は使っているが、本小型衛星のプロジェクトに特化した専用のボード開発の議論も進めている。また、X線集光系については、NASA ゴダード宇宙飛行センターにおいて研究打ち合わせを行った。
2: おおむね順調に進展している
NICER は無事に打ち上げられ、順調に観測を行っており、今後はデータ解析・検出器のキャリブレーションに集中できる段階にある。超小型衛星もフロントエンドの読み出しの開発は進めており、今後、バスシステムまで含めた検討をすすめる。概ね、予定通りの進捗であると考えている。
NICER の解析は今年度に集中して行う。そのデータをもとに、超小型衛星の開発の詳細を詰め、実際の実験室モデルを作成する予定である。
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