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2017 年度 実施状況報告書

光学素子への応用を目指したCFRP表面への防湿層形成法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K18782
研究機関愛媛大学

研究代表者

粟木 久光  愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (30252414)

研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2019-03-31
キーワードX線反射鏡 / CFRP / 防湿
研究実績の概要

CFRPは吸湿により膨潤変形を起こすため、時間とともに形状が変化することが知られている。この経年変化は光学部品など寸法安定性を要求される部品には致命的な欠点となる。本研究では、CFRPの使用環境を拡大すること、ならびに、複雑な形状の光学部品を作成することを目的に、(1)CFRP表面に直接水蒸気バリア層を形成すること、そそして、(2)バリア面上に反射面を形成することを行う。平成29年度は(1)が主要な研究内容になる。1回目のバリア層形成の試作では、防湿フィルムと同等の水蒸気バリア効果が得られることを確認した。ここでのバリア層の評価は吸湿による質量増加率を経過時間の関数として表すことで行っている。通常の実験室環境下では、数ヶ月の時間を要するために、60℃, RH~100%の環境下に試料を置き加速試験を行なった。(2)の反射面の形成については、1回目の試作品を使って、目視ならびにレーザー顕微鏡を使ってCFRP表面の観察を行った。観察を通して課題を抽出し、その課題への対策をチーム内で立てた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成29年8月に研究チーム内での打ち合わせを実施し、研究の目的と計画の確認を行った。今年度はCFRP平板に対して防湿層を形成することを目標としており、2回の試作を実施する予定であった。しかし、実験装置に予想外の課題が生じたことにより若干遅れ、2回目の試作が4月末にずれこんだ。現在、その評価を行っているところである。
この評価と並行して、平成30年度の研究課題として設定している反射面の形成に対して課題を抽出した。チーム内で課題を共有するとともに、その対策を検討した。ここで検討した対策を今後の開発製作に反映する。また、反射面の表面観察で使用するレーザー顕微鏡の較正や反射面の性能評価に用いるX線ビームラインの今年度の利用手続きなど、評価のための準備作業も終了したところである。
当初、予期せぬ課題により研究は遅れたが、この若干の遅れは実験補助員を2名雇用することで解消しつつある。1回目の試作で、防湿フィルムと同程度のバリア性を付与できることを確認したことや、現在は、問題なく試作品を製作できる状況にあることから、おおむね順調と判断した。

今後の研究の推進方策

今後も研究チーム内で、CFRP基板の製作、防湿層の形成、評価を分担し、綿密に情報交換を行いながら研究開発を進める。まず、バリア効果に対しては、市販の防湿フィルムと同等のレベルに到達している。しかし、より長期間の使用を可能にするために、より高いバリア性を持たせたいと考えている。このための改善を行う。また、反射面形成に関しては、現在立てた対策を実施する。この対策では工程内でのパラメータ出しが必要であり、予備実験でパラメータの最適化を行なったのち、CFRP表面への反射面形成を行う。出来上がった反射面の評価は愛媛大学所有のレーザー顕微鏡、可視平行光源を用いて行う。可視光評価により良好な結果が得られたサンプルに対して、X線による評価を行う。
なお、本研究では、技術的改善を行うために多数回の試行錯誤が予想される。多くのCFRP基板が必要になるため、遅滞なく円滑に、基板を供給できるように実験補佐員2名体制を敷いた。補佐員は、評価試験も担当する予定である。

次年度使用額が生じた理由

進捗状況でも述べたように、予期せぬ課題が発生したために、課題が解決されるまで実験補佐員の雇用を見合わせていた。このために、当初の予算計画との間にズレが生じた。問題解決後は円滑に実験できており、初期の若干の遅れを解消するとともに、より多くの成果が出せるように、当初予定していた実験補佐員1名体制を2名体制に変更した。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] X線望遠鏡用炭素繊維強化プラスチック(CFRP) 反射鏡と位置調整法の開発2018

    • 著者名/発表者名
      大上千智・粟木久光・大松茉喜・吉田鉄生・横田 翼・三石郁之・田村啓輔・ 石田直樹・中野慎也・大塚康司・吉田篤史・松本浩典
    • 学会等名
      日本天文学会2018年春季年会

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公開日: 2018-12-17  

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