研究実績の概要 |
南極は地球上に残された最後の天文観測適地であり、その開拓は世界競争の中で進められている。日本は電波観測においては計画が進んでいるものの、赤外線観測においては世界に遅れをとっているのが現状である。その中で本研究の目的は、地球上で最も天文観測に適していると言われる南極の大気光環境を調査すべく、南極で天文観測を実施するための装置を、既存の赤外線カメラを改造することで製作することである。特に本研究においては、K-darkバンドに着目するというユニークさを活かし、その波長帯における南極での大気光観測のために設計したリニアバリアブルフィルター(Linear Variable Filter, LVF)を製作することで、K-darkバンドの波長帯での大気光スペクトルを得ることを目指している。 2019年度は、製作したLVFを取り付ける予定の、東北大学理学部天文学教室が所有する既存の赤外線カメラシステムのメンテナンスを実施した。具体的には、このカメラに取り付けられた赤外線検出器を冷却するための機械式冷凍機システムに対して、コールドヘッドと呼ばれる消耗品部分の交換などのメンテナンスを実施した。そして、このメンテナンスを実施した冷凍機を含むカメラシステムを、国立天文台岡山天体物理観測所に持ち込み、そこで銀河面の恒星を対象とした天文観測を実施した。これにより、カメラシステムが健全な状態であることが確認できた。
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