本研究の目的は,生体試料中に微量で含まれているメチオニン(必須アミノ酸の1つ)の安定窒素同位体比の測定に関して,異なる2つの性質のGCカラムを連結する「カラムカップリング法」と定義できるような新しい分析法の開発と,その応用・実証研究を行うことである。 平成30年度は,平成29年度に開発した分析法を用い,実試料の分析を行った。その結果,(1) 既知の餌を与えて育てた飼育個体,及び,(2) 天然から採取した陸上(有機物資源:植物100%),海洋(同:藻類100%),河川(同:様々な割合の混合)生態系,について,得られたメチオニン・フェニルアラニン・グルタミン酸の窒素同位体比から,「有機物資源の水陸混合率,藻類X%,陸上植物100-X%」,および「生物の栄養段階」を見積もることができた。これらの成果は,水陸境界環境における生物の栄養段階,および餌資源の同定・水陸混合比,を見積もる新たな方法論として,国内学会,および,国際誌で発表済みである。
|