研究課題
地球内部でのマグマの挙動を解明するために、マグマの構造の圧力変化を理解することは重要な研究アプローチの1つである。そこで本研究では量子ビームを使った回折実験からマグマの構造決定を試みている。本研究の成功のためには含水マグマを長時間保持できるカプセルを使用する必要がある。そのために様々な材料をテストし、最適なカプセル材を選択することができた。そして、そのカプセルを用い、大強度陽子加速器施設J-PARCの超高圧中性子回折装置PLANETを利用した中性子回折実験と高エネルギー加速器研究機構KEK内のPF-ARのNE5CでのX線回折実験を通して、含水珪酸塩ガラス・メルトの構造を高圧下で測定することに成功した。含水ナトリウム珪酸塩メルト:NE5Cにおいて3GPaまでの圧力条件下でX線回折実験に成功し、構造データを取得した。含水量に応じて、四面体構造の変化を確認することができた。また、PLANETでは高温高圧下で中性子回折実験を実施し、シグナルの取得に成功した。解析は現在進行中であるが、うまく解析を進めることで、メルト中の水素位置の決定を目指している。。含水ナトリウム珪酸塩ガラス:PLANETにおいて圧力2GPaの条件下で異なる含水量のガラスの中性子回折実験を実施した。短距離・中距離構造の含水量依存性を明らかにするとともに、水素-酸素結合に由来するピークを確認した。水素がネットワーク構造へ及ぼす影響や水素位置の圧力依存性などの解明に繋がる重要なデータを取得できた。上述した研究成果は様々な国際・国内会議で発表しており、国際誌への投稿も進めている。
2: おおむね順調に進展している
最初の成果である玄武岩ガラスのX線回折実験は国際誌で出版された(Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, vol.113, p.286-292)。さらに含水ナトリウム珪酸塩メルトの構造をX線回折実験から明らかにすることができ、含水量に応じて四面体構造の変化が確認された。本成果は投稿準備中である。また、J-PARCのPLANETで高圧下での含水ナトリウム珪酸塩ガラスの中性子回折実験に成功した。水素由来のシグナルを確認することができ、含水ガラスのネットワーク構造内での水素位置の挙動を理解するための大きな一歩となった。この研究成果に関しても、国際・国内学会で発表しており、国際誌への投稿準備中である。国際誌などで発表できる研究成果を多く挙げることに成功しており、順調に研究が進展している状況である。
実験を継続していくより多くのデータ収集を行う。特に含水マグマの中性子回折実験を通して、マグマ中の水素位置の圧力依存性を明らかにする。最終的には含水マグマの高密度化プロセスを解明することで、地球内部で滞留するマグマの重力的安定性をの議論していく。
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Comptes Rendus Geoscience
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SPring-12 Experimental Summary Report
Journal of Mineralogical and Petrological Sciences
巻: 113 ページ: 286-292
SPring-8/SACLA利用研究成果集
巻: 25 ページ: 208-211
SPring-8 Experimental Summary Report
SPring-9 Experimental Summary Report
SPring-10 Experimental Summary Report
SPring-11 Experimental Summary Report