研究課題
本研究は【1】強連成計算に向けたマクロ・メソ・ミクロ計算コードの最適化、【2】スケーラブル通信ライブラリACPを用いた「コンダクタ・アプリ」の開発、の2つの課題を中心に進められた。マクロ計算コードとしては惑星磁気圏と太陽風との相互作用を解く磁気流体力学コードを用いる。メソ計算コードとしては、磁気子午面をシミュレーション空間に設定し、磁気圏内でのプラズマ波動の伝搬を解く電子流体コードを用いる。ミクロ計算コードには、磁気赤道周辺でのプラズマ粒子とプラズマ波動との相互作用を解き進める電子ハイブリッドコードを用いる。いずれのコードも、個別の計算で複数の学術論文が出版されている、実績あるコードである。本課題ではこれらのコードをdirect memory accessによるコード間通信で組み合わせて、計算を実施しつつ相互の結果を参照する強連成計算の実現を目的として研究開発を進めた。平成29年度は課題【1】に関して、マクロ・メソ・ミクロ計算コードを用いた強連成計算に向けた取り組みを行った。すなわち、(1)コード間通信に各コードで必要となる情報のデータサイズと想定される通信頻度の整理、(2)通信に必要なモジュール箇所を取り出しての最適化作業、(3)コード間通信に用いるAdvanced Communication Primitives (ACP) ライブラリについて、各コードに導入が必要な関数の選択とインターフェースの設計、(4)各コードの通信モジュール部分へのACPライブラリ関数の導入とコード開発、である。また、【2】に関してはコンダクタ・アプリに必要な機能と開発項目の検討を開始した。通信モジュールの設計と、各コードの入出力情報を管理する機能の実装に向けて、開発項目を整理した。
2: おおむね順調に進展している
マクロ・メソ・ミクロ計算コードのコード間通信に必要な情報の整理と、ACPライブラリを用いた通信モジュールの設計、最適化作業は順調に進展している。コンダクタ・アプリの開発検討も当初の計画通りに進められている。研究組織内での議論は円滑に進められており、当初の研究計画に対して順調に進展していると判断される。
研究は順調に進展しており、次年度も当初の研究計画に従って研究を遂行する方針である。
全国共同利用を通じて使用できる計算機資源が解析ソフトウェアライセンスを含めて一定程度確保できたことにより、平成29年度に執行予定であった大型計算機利用料と解析ソフトウェアの物品費を使用せずに、平成30年度のコード間通信性能評価のための計算機利用料として使用することとした。解析補助のための人件費は平成30年度に集中して使用・実施することとした。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
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