• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実施状況報告書

炭素質隕石の有機分子分布イメージングへの挑戦

研究課題

研究課題/領域番号 17K18800
研究機関東北大学

研究代表者

古川 善博  東北大学, 理学研究科, 准教授 (00544107)

研究分担者 中村 智樹  東北大学, 理学研究科, 教授 (20260721)
宇留野 晃  東北大学, 医学系研究科, 准教授 (90396474)
三枝 大輔  東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 講師 (90545237)
研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2019-03-31
キーワード質量分析 / 隕石 / イメージング / 分布
研究実績の概要

本研究では、隕石中の可溶性有機物の起源を知るための手がかりとして、隕石中のそれらの有機物の分布についてイメージング質量顕微鏡を用いて分析を行った。イメージング質量分析計を隕石分析に用いた研究はなく、本研究で初めて用いて隕石有機物の分布分析を試みた。1年目にあたる今年度はマーチソン隕石とアレンデ隕石について脱離エレクトロスプレーイオン化を用いる質量分析計とレーザーイオン化を用いる質量分析計について検討し、空間分解能が高いレーザーイオン化を用いるイメージング質量顕微鏡(iMScope;島津社製)を用いて、さらにイオン化手法の検討を行い、質量イメージの取得を行った。この質量イメージングは一部の鉱物の分布と対応していることから、一応の質量イメージの取得に成功した。さらに、これまでに試験的に分析して得られた隕石内の有機物分布に関するシグナルの信頼性、誤差について検討を行った。特に影響を与える可能性のある表面の凹凸について、試料の成形方法をいくつか検討し、作成した試料の表面をレーザー顕微鏡で観察し、その凹凸を評価した。いくつかの手法を検討した結果、質量イメージング顕微鏡で典型的に分析される生体試料レベルの凹凸にする手法に行き着いた。この手法を用いて成形した試料についてイメージングを取得したが、得られたイメージが実際の有機物分布を示すものなのか、蛍光顕微鏡や電子顕微鏡観察、抽出性有機物分析のデータと合わせて総合的に検討を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

一年目ではあるものの、隕石の高空間分解能質量イメージの取得には成功している。ただし、このイメージにはバックグラウンドノイズが相当量含まれるため、それを減らす工夫、または差し引く工夫が必要になっている。さらに、得られたイメージは質量情報であり、この情報と抽出性有機物分析を組み合わせて有機物の分子分布を示す分子イメージングにしていくことが最終目標であるが、この部分にはさらなる進展が必要な状況となっている。

今後の研究の推進方策

今後の研究では、これまでに主に分析装置として使用したMALDIベースの質量イメージ分析装置のデータの質の向上をはかるとともに、最近になって研究分担者の研究室に導入された、空間分解能が高い脱離エレクトロスプレーイオン化を用いる質量分析計についても隕石の質量イメージング分析に応用を試みる予定である。脱離エレクトロスプレーイオン化は可溶性有機物のイオン化に有利であることが知られており、空間分解能が高い脱離エレクトロスプレーイオン化を備えた質量分析計を用いることによって、アミノ酸などの極性分子の感度が向上し、結果的にバックグラウンドノイズの問題が解決する可能性がある。また、可溶性有機物の中でも特に重要なアミノ酸に特化して、隕石中にあるアミノ酸を隕石に含まれるまま誘導体化すれば感度良く検出し、分布を特定できる可能性がある。この誘導体化方法も試みていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由は、今年度に使用した物品の一部が他の経費と共通で使用するもので、その支出が抑えられたことと、一部の消耗品に関して、研究代表者の研究室で既に所有していた消耗品を使用したことが原因である。この分は次年度に補充する予定である。

URL: 

公開日: 2018-12-17  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi