研究課題/領域番号 |
17K18805
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
寺田 健太郎 大阪大学, 理学研究科, 教授 (20263668)
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研究分担者 |
河井 洋輔 大阪大学, 理学研究科, 助教 (90726671)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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キーワード | SIMS / 局所分析 / 同位体分析 / イメージング分析 / 隕石 / 岩石 |
研究実績の概要 |
本研究は、ポストイオン化を新機軸としたナノスケール同位体質量分析装置を開発し、1μm以下のプレレソーラー粒子一粒一粒について微量元素の同位体分析を行うことを目的としている。
今年度は、レーザーポストイオン化質量分析器をベースにした同位体イメージングシステムを開発した。予備的な分析として、プレソーラー粒子のアナログとして、地球上の炭化ケイ素粒子の3つのシリコン同位体分布を観察した。同位体画像はサブミクロンの空間分解能で得られ、その同位体比は標準資料として妥当な同位体組成を得られることを確認した。これらの結果について英文誌に報告した。
さらに、前年度構築したマスレンジをスイッチしながら連続測定するシステムを用い、鉛同位体(質量数=204~208Da)とウランとウラン酸化物(質量数=239-270Da)のランテーブルを開発し、ジルコン(ZrSiO4)で基礎実験を行った。本開発において長年直面している問題として、試料表面をコーティングしている金(Au)のシグナルが数十分のラスタリング後にも現れる現象がある。ラスタリングの時間、範囲、各種電圧の印加のタイミングを調整したが解決には至らなかった。ただ、この作業において、プライマリービーム(PB)のパルス化の際、デフレクターによってPBが十分にきれていない(サンプル表面の金コーティングをなめている)ことが明らかになった。現在、対策をねっているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、新型コロナの感染拡大による研究活動の自粛を余儀なくされた。また装置開発のコアメンバーである研究分担者の休職が重なった。
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今後の研究の推進方策 |
同位体イメージング像を取得するためのイオンビーム走査機能、広い質量範囲の分析を行うために必要なパルスタイミング制御、および定量性の高い分析を行うために必要な新規スペクトル取得法、鏡面研磨した標準試料を用いた複数の元素をスイッチしながらの連続測定といった、本計画を達成するのに必要な開発要素 の一つ一つは出来上がりつつある。今後は、これらの機能を一つに統合し、未研磨の粒子をもちいて再現性を確認したのち、実際に隕石試料から単離したプレソーラー粒子の分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染拡大に伴い、所属大学や学外での研究活動の自粛を余儀なくされたため。また、出席予定であった国内外の学会が、相次いでキャンセル、もしくはオンライン学会になったため。
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