研究課題/領域番号 |
17K18809
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
真下 茂 熊本大学, パルスパワー科学研究所, 特任教授 (90128314)
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研究分担者 |
川合 伸明 熊本大学, パルスパワー科学研究所, 准教授 (60431988)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 圧力スケール / グリューナイゼン定数 / 衝撃圧縮 / 金スケール / 白金スケール / ルビースケール / ユゴニオ / 強度 |
研究実績の概要 |
衝撃圧縮が絶対圧力であることから、固体の状態方程式は衝撃圧縮(ユゴニオ)データを用いて議論されるか、あるいは、ユゴニオデータから得られた金や白金などの状態方程式から導出された圧力スケールを用いた静的圧縮実験によって圧力-密度を決定し、議論されている。ユゴニオデータから状態方程式を議論したり、圧力スケールを決定するためにはグリューナイゼン定数が必須であるが、高圧下のグリューナイゼン定数の測定は誰も成功していない。本研究は、常温出発に加えて高温出発のユゴニオを測定することによって、金、白金、銀、銅、タングステンなど圧力スケール物質のグリューナイゼン定数を直接決定することを第一の目的とする。そのためには常温出発のユゴニオがベースとなるが、高速流しカメラシステムによるこれまでの計測を完成させ、さらに、ユゴニオから静水圧縮曲線を導出するためにレーザー速度干渉計(VISAR)によって粒子速度履歴の計測し、衝撃圧縮下の強度を評価する。 これまでに基本となる金、白金、銀、銅、タングステンで常温出発のユゴニオを200GPa以上まで計測をほぼ終えた。また、金で多重衝撃によるVISAR実験を行い、強度を評価した。白金はH30年度計測し、ほかの銀、銅、タングステンではこれまでに報告されたデータを用いる。さらに、本題の高圧下のグリューナイゼン定数を決定するために金、白金、銀、銅、タングステンの高温出発のユゴニオの計測実験をほぼ終えた。これらの成果を解析することによって新しい金スケール、白金スケール、ルビースケールの決定版を提案する計画である。その結果、静的圧縮実験の圧力の精度が格段に上がり、地球内部の層境界の定量的な議論が可能になり、地球内部構造の新たな展開に繋がるはずである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに基本となる金、白金、銀、銅、タングステンの常温出発のユゴニオを200GPa以上まで計測を終え、また、金で多重衝撃によるVISAR実験を終えた。従って、これらの物質の静水圧縮曲線を導出するための基礎データが概ね揃った。さらに、本題の高圧下のグリューナイゼン定数を決定するために金、白金、銀、銅、タングステンの高温出発のユゴニオの計測実験を一通り実施し、実験は概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、金に続いて白金のVISAR実験を行い、常温出発のユゴニオ結果から金、白金、銀、銅、タングステンの静水圧縮曲線を導出する。次に、高温出発のユゴニオを解析し、グリューナイゼン定数を導出する。また、データが足らなければ追加実験を行う。これらのデータを用いて常温の等温静水圧縮曲線、さらに、高温の等温静水圧縮曲線を導出する。最終的に金スケール、白金スケール、ルビースケールを完成させ、地球内部の境界問題を議論する。
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