研究課題/領域番号 |
17K18810
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
中屋 晴恵 (益田晴恵) 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (70183944)
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研究分担者 |
武内 章記 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境計測研究センター, 主任研究員 (10469744)
石橋 純一郎 九州大学, 理学研究院, 准教授 (20212920)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 水銀同位体比 / フィリピン海プレート / 南海トラフ / 地質学的循環 / 地下水水銀汚染 / マグマ性流体 |
研究実績の概要 |
本研究計画では、フィリピン海プレート収束域での水銀の地質学的循環を明らかにすることが目的であった。2年計画であり、初年度は大阪平野における活断層近傍の浅層地下水に見られる水銀汚染と、南海トラフに沈み込む深海底堆積物中の鉛直方向での水銀の分布とその起源を明らかにした。地下水中の水銀は地殻深部(おそらく地殻下部)の熱水活動に由来する可能性がある。また、深海底堆積物中の水銀は降下火山灰に由来するものであろう。水銀同位体比から、どちらも生物活動との関連ないことを確認した。 2年目は、火山性流体中の水銀を中心に調査を行なった。宮崎県霧島連山硫黄山では2018年4月に水蒸気噴火が発生した。この時、マグマ水を含む熱水が噴出した。7月~3月にかけて熱水の採水を行い、水銀濃度を分析した。その結果、pHが1より低い酸性熱水で最大200pptの水銀濃度を検出し、水銀がマグマ性流体に伴って移動していることを確認した。また、大阪平野と同様に活断層に伴って水銀汚染井戸が出現する沖縄島で地下水採取を行い、水銀濃度の分析を行った。その結果、浅井戸の地下水から最大50pptの水銀を検出した。水銀は、マグマが発生するか否かは問わず、ウェッジマントルからの熱供給に伴う熱水活動に付随して気体として地殻を上昇すること、活断層は上昇経路として重要な役割を担っていることが強く示唆された。 発表2年目の成果は、研究期間終了直後の2019年4月に杭州で行われた中国岩石学鉱物学地球化学会・日中フォーラムで益田が招待講演した。また、5月に地球惑星科学連合大会で発表予定である。また、南海トラフの結果をまとめて論文を作成中であり、データがまとまり次第、順次論文化を進める予定である。
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