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2017 年度 実施状況報告書

越境拡散浮遊粒子状物質に含まれるタンパク質の定量分析の試み

研究課題

研究課題/領域番号 17K18811
研究機関熊本県立大学

研究代表者

張 代洲  熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (90322726)

研究分担者 松崎 弘美  熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (30326491)
山元 涼子  熊本県立大学, 環境共生学部, 助手 (50580429) [辞退]
研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2019-03-31
キーワード越境大気汚染 / 浮遊粒子状物質 / タンパク質 / 定量分析 / 東アジア
研究実績の概要

この研究の目的は,汎用のタンパク質定量分析法を用いて大気中浮遊粒子状物質に含まれるタンパク質の定量分析法を確立し,黄砂やヘイズなどの越境移動の浮遊粒子状物質中に含まれるタンパク質の測定を行い,大気環境学と生化学を横断する斬新な研究サブジェクト「大気中のタンパク質の濃度変化およびそのアミノ酸構造の解明」に初期的なデータを蓄積することである.
平成29年度では、まず標準溶液と実大気中のサンプルを利用して実験室内においてBCA法を用いた定量分析の操作手順と抽出精度の検討を重点的に実施した.操作手順などを検討するために,タンパク質の抽出率,検量線の再現率,吸光度の測定を繰り返し行なった.また,大気中浮遊粒子状物質中のタンパク質について,試験的な測定も行なった.その結果,標準溶液の濃度0.5-10μg mL-1の吸光度が超純水の吸光度とほぼ一致した.よって,本実験において濃度5.0-10μg mL-1の範囲で検量線法が最も適応であることを確定した.実大気(熊本市にて)へ試験的に使用した結果,大気中のタンパク質濃度は0.2-1.07μg m-3であった.このことから,サンプルの採集は数立方メートルの空気を採集しないと,浮遊粒子状物質中のタンパク質に対して、正確な定量が難しいことがわかった.また,天気条件の違いによって,大気浮遊粒子中のタンパク質量が大きく異なる結果もあった.同一地点でも,地上からの高度の違いによって,大気浮遊粒子中のタンパク質の濃度が異なることも分かった.これらの研究活動によって,天気や大気汚染の状況の変化に伴う大気中のタンパク質の定量分析が汎用なBCA法を利用して可能となった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成29年度予定された実施内容のPicotan/Picotein法を用いて分子量別のタンパク質の相対量 (割合)の測定がまだ行えていない.実大気浮遊粒子状物質中のタンパク質の濃度が極めて低く,精確に定量できるまでに時間がかかった.既にその相対定量に必要な設備等の準備ができたので,平成30年度の当初の研究内容を実施しながら,その相対量(割合)も測定する.

今後の研究の推進方策

前年度に確立された方法を利用して,九州西岸および中国東部沿岸域において大気中浮遊粒子状物質を観測し,越境大気汚染気団中のタンパク質の定量評価を試験的に行う.また,Picotan/Picotein法を用いて分子量別のタンパク質の相対量 (割合)の測定も実施する.
平成30年5月現在まで既に熊本県天草半島西海岸と中国東部沿岸都市青島市においてフィルターサンプルを複数採集している.サンプルの採集は,気象条件を参考にして流れ経路別の気団(アジア大陸からの気団,東シナ海からの気団,局地的な気団)に対して,気団毎に行なった.また,浮遊粒子状物質中のタンパク質の量と浮遊微生物の濃度の関係も調べる.これらの研究活動で取得するデータを取りまとめ,国内外の学会で発表するに合わせて,学術論文の原稿を作成して専門雑誌に投稿する.
更に,国内外の専門家に訪問し,「大気中のタンパク質の濃度変化およびそのアミノ酸構造の解明」を目的にして新たな展開を計画する.

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公開日: 2018-12-17  

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