研究課題
令和3年度は、当初目的である「X線光子相関分光法(XPCS)による粘性測定」を実現するための期間延長の2年目であった。本研究は、広義には、水-ケイ酸塩系のダイナミクスの研究であるが、その点において、前年度に引き続き、幾つかの大きな進展があった。前年度に、非晶質の相転移カイネティクスについて、エネルギー準位や活性化エネルギーの幅を定式化したモデルにより、SiO2ガラスの永久高密度化現象に関する各種の実験データを再現することに成功し、この成果を論文として公表したのに続き、Photon FactoryのBL-18Cにおいて静的加圧によるSiO2ガラスの相転移の時間分解実験を実施し、結晶とは異なる相転移の進行を確認した。論文としてまとめるために必要なデータの測定もほぼ完了している。また、Photon FactoryのAR-NW14Aにおいてレーザー衝撃圧縮(動的圧縮)によるSiO2ガラスの中距離構造の変化の様子を観察し、静的圧縮に比べて構造変化が極端に小さいことを発見した。こちらについては、現在までに測定したデータをまとめて論文として公表する予定である。なお、前年度までに、水ガラス(Na2O-SiO2-H2O系)について、その構造を理解する鍵となる特徴的な低Q回折ピークの起源が、Na2Oに富むクラスター内のNa-Naの相関であることを計算機シミュレーションの専門家との共同研究により解明したが、その結果については、論文にまとめて公表した。
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