研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究においては,地球温暖化防止対策に資する次世代エネルギー機器の高効率化に不可欠な,機器動作環境の過酷化(高温高負荷化)に起因して生じる構造材料の強化微細組織のナノスケールでの崩壊過程の大気環境中における可視化技術の開発に挑戦した.高輝度白色光源を使用して構造材料表面を観察し,反射光を高精度フィルターを導入して波長選別し,各波長領域の画像を分離計測,比較することで代表元素の分布の変化を大気中で観察する技術の開発に成功した.本評価手法を適用することで,合金中の元素の偏析や局所酸化現象や塑性変形の進行に伴う表面粗さ変化など大気中で微細組織変化観察を実現できる見通しが得られた.
破壊予知と破壊制御
従来の構造材料の劣化損傷評価では電子顕微鏡の利用は不可欠であり,大気中で観察することは不可能である.本開発手法は,高輝度白色光を光源とし,構造材料表面に照射して特定の波長帯域の反射光の強度分布のみを選択的に分析することで材料表面の微細組織変化を非破壊評価するものである.したがって,大気中での観察を前提にしており,稼働中の機器に使用されている各種構造材料の組織変化に基づく劣化損傷状態を非破壊非接触で観察可能であることから,レーザ光で材料表面の元素分布の可視化という学術的な意義だけでなく,工学分野における各種構造材料の非破壊非接触での劣化損傷評価という極めて高い有用性があるものと期待している.