研究課題
本研究の目的は、軟X線を利用した波面計測により高精度ミラーの形状評価法を確立することである。近年、放射光施設や高次高調波などの軟X線において高い空間コヒーレンスが実現されている。こうした軟X線ビームでは、位相回復法により波面を高精度に求めることが可能となる。軟X線の波長は10nm以下と短いため、位相回復法とミラー表面の形状評価に利用すると1nmレベルでの形状評価が可能となる。可視光では高精度な波面計測には複雑な干渉計光学系が必要となるが、位相回復法を利用することで複雑な光学系は不要となる。これまで位相回復法による軟X線集光ビームの波面回復プログラムを独自に考案し可視光を用い実証した。また、SPring-8の軟X線ビームラインBL25SUでは、回転体ミラーを用いた軟X線集光ビームに位相回復法を適応し、集光ミラーの形状誤差の測定に成功した。測定精度はP-V数nmレベルである。SPring-8の協力により高速な位相回復測定を実現した。東京大学の高次高調波施設におけるミラーを用いた軟X線集光システムにおいて位相回復法による波面計測法を導入し回転体ミラーの形状誤差の測定に成功した。SPring-8では高精度の形状計測には成功したが、ラボ光源である高次高調波を用いた測定では精度向上が必要である。光源の安定性の向上、光の単色化などが課題である。今後、高次高調波の光源グループと連携し、小規模な軟X線光源を用いた高精度ミラー形状計測法を確立する。
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Applied Physics Letters
巻: 116 ページ: 121102
10.1063/1.5144932