研究課題/領域番号 |
17K18836
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
中西 為雄 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (10235799)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | Algebraic VOF Method / Interface Capturing / Heaviside Function |
研究実績の概要 |
VOF型界面捕獲法は、各格子セルにおいて、界面を特性関数χ(x,y,z,d)(dは界面位置指標)で近似し、χのセル平均値Cを時間発展的に求める方法である。Cおよび、χのセルへの流束は、χの体積分から計算される。最終的にCと流束はdのみの関数で表される。界面捕獲法を構築する要は、① 体積分が解析的に求まるχを選び、② 精度良く、簡単にCからd、dからχの流束を求めるところにある。筆者は多次元Heaviside 関数の体積分を解析的に求める方法を見出した。本研究の目的は、(a)これに基づく新しい界面捕獲アルゴリズムを創成する、(b) これを応用した気液二相流の高精度シミュレーションツールを構築することである。 研究実施計画の第3段階前半の内容を計画通りに実施し、予期の成果を得ることができた。具体的に、前年度研究の問題点を系統的に整理し、2次元版気液二相流プログラムに対する検証・改良を終えた。本研究の過程で、従来の界面を滑らかな特性関数で表す方法に対する質量中心近似による簡易計算法も考案した。これらの研究成果を国際会議(2回)と国内会議(1回)に発表した。さらに、ヘビサイド関数とその逐次積分関数、デルタ関数に収束する解析的に微分・積分可能なサブグリッド補間関数群を簡単に構築する方法を新たに発見した。 第3段階後半の内容をほぼ計画通りに実施してきた。アルゴリズムを3次元版に拡張し、剛体回転および単一渦による界面変形問題等の単純移流問題に対するプログラムの作成・検証を終えた。3次元版気液二相流プログラムの作成・検証は5割終えているところに来ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実施計画の第3段階前半の内容を計画通りに実施し、予期の成果を得ることができた。第3段階後半の内容をほぼ計画通りに実施してきた。平成29年度では、参加予定の研究協力者は健康上の事情により研究に参加できず、その影響で研究に一定程度の遅れが生じた。平成30年度では、その遅れの大部分を取り戻すことができたが、アルゴリズムの3次元気液二相流への拡張・応用への対応に若干な遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
3次元気液二相流のシミュレーションツールを仕上げる。3次元応用問題を解き、従来の方法に対する優位性を実証する。本研究の成果を学術誌に投稿しているが、査読結果に伴う修正等に対応する。本研究の新しい成果を国内外の学会で追加発表する。また、学会誌・学術誌に投稿することにより、研究成果を社会に還元する。必要に応じて、追加検証を行う。また、さらなる発展性についても考察していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
3次元気液二相流シミュレーションツールの作成・検証に大学院生1名を研究補助者として研究に参加させる。これまでの人件費・謝金の未使用部分を使用する。これまでの消耗品費の未使用部分を、解析データを保存するためのハードディスク等の記憶媒体および、新たに必要となった研究図書の購入に使用する。本研究の新しい成果を国内外の学会で追加発表するための旅費を使用する。研究成果を学会誌・学術誌に掲載する際の論文別刷費、さらに成果報告書等の印刷・製本費を使用する。
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