研究課題
延長期間である今年度には,次の成果が上げられている.1.前年度までに相分離シミュレーションの結果の分析において,これまで注目してこなかったスピノーダル分離とバイノーダル分離の区別が明瞭になり,とくに後者の臨界線の予測にめどが立ってきた.そこで,カーン・ヒリアード型の方程式を流体極限としてもつ簡便な運動論方程式を拡張して,より現実的な簡易モデルを構成して境界に起因する難点が生まれない周期系の数値シミュレーションを多数行った.この新しいモデルでは,質量だけでなく,運動量やエネルギーも保存される.さら時間的に単調減少する汎関数が見出され,熱力学的な現象解釈を自然に拡張できることが分かった.この成果は年度末に論文にまとめ,学術誌へ投稿中である.2.前年度までにCercignani-Lampisの境界条件モデルの背後にある力学的描像を抜き出す Langevin 描像を同定し,その結果を前年度に国際会議で発表した.その成果をまとめた論文を会議録掲載用にまとめ,投稿した.すでに掲載が決定している.3.Ellipsoidal Statistical モデルと呼ばれる拡張型緩和衝突模型の低プラントル数領域でのエントロピー的な性質を調べた結果を報告する論文を執筆し,Kinetic and Related Models誌に掲載された.4.多孔質内の拡散現象に関して,気体分子間の衝突がないKnudsen拡散に関してパーコレーション理論の見地からの再解釈を与え,充填率が高い領域まで負荷圧力に対する流量コンダクタンスを再現する単純な灰色模型についての成果をまとめた論文を執筆し,Phys. Fluids誌に掲載された.
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Recent advances in kinetic equations and applications, Springer INdAM Series
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Physics of Fluids
巻: 32 ページ: 102004~102004
10.1063/5.0024636
Kinetic & Related Models
巻: 13 ページ: 1163~1174
10.3934/krm.2020041