Cell Pinball現象は幅50μm、高さ4μmのマイクロ流路を用いて生理食塩水で薄めた赤血球を流したときに観察される。そこで直径6~8μm、中央部厚さ1μm、外周部厚さ2μmという赤血球独特な形状に解決のヒントが潜んでいると考え、可視化を試みたが、挙動に明快な結果がでるまでには至らなかった。塩分濃度が低い液体中にある赤血球の内圧増加に伴って、赤血球の形状が球状に近くなり、結果として赤血球がマイクロ流路上下面で同時に面接触し、流体力学的効果との連成によって回転トルクが生成され、回転しながら主流と直交方向に運動する力成分を作り出していると解釈するのが一番自然であるという考察に至った。
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