研究課題/領域番号 |
17K18856
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
木之下 博 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (50362760)
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研究分担者 |
大宮 祐也 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (40717203)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | トライボロジー / バイオマス / 金属ナノ粒子 / 添加剤 / 摩擦 / 摩耗 |
研究実績の概要 |
ナノ材料は高価格であり,工業的な応用に関しては,その高価格がネックになって進んでいない。我々は木材を鋳型として,様々な種類の金属ナノ粒子を低価格で合成する技術を有している。本研究ではその応用として,各種金属ナノ粒子を合成し,潤滑油に添加して摩擦実験を行い,潤滑油添加剤としての可能性を明らかにする.さらに他添加剤との併用効果についても研究する。 本年度は以下の結果が得らえた。 (1)木材を鋳型として,酸化鉄ナノ粒子,酸化銅ナノ粒子の合成を行った。木材に含浸させる時間を短くすれば粒径が小さくなること,合成温度を低くすると同じく粒径が小さくなることが明らかとなった. (2)ポリアルファオレフィン(PAO4)に合成した金属ナノ粒子を分散した.分散性を高めるために分散剤を使用したが,分散性の向上は認められなかった.また,潤滑性も向上しなかった.ただ,酸化することによりPAOに容易に分散するようになったが,沈殿は解消されなかった. (3)酸化銅ナノ粒子をPAO4に分散した潤滑油を用いて室温で往復摺動摩擦試験を行った.何も添加していないPAO4と比べて粒径の小さい酸化銅ナノ粒子を用いることで明確な摩擦力・摩耗の減少が認められた.酸化銅ナノ粒子を分散したPAO4および無添加のPAO4を用いて間欠的に摩擦試験を行った結果,酸化銅ナノ粒子による摩擦・摩耗の減少は酸化銅ナノ粒子が摺動面に侵入することおよびトライボフィルムの形成によって達成されることが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在まで,金属ナノ粒子の合成,潤滑油への分散方法の検討,摩擦実験ともに上記の結果を得ており計画通り進んだ.
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今後の研究の推進方策 |
上記のように研究は計画通りに進み,潤滑性の向上も達成できた.来年度の延長年度では,得られた結果をまとめ,学会発表および論文作成を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
金属ナノ材料合成時の温度を低下させることで粒径が小さくトライボロジー特性もさらに改善されることが明らかになる成果が得られ、その成果を来年度に開かれる大きなトライボロジー分野の国際会議で発表すべきと判断し、その学会参加費や旅費のため。 5月トライボロジー会議 9月 ITC2019SENDAI
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