これまでICタグ等の技術は商品流通の分野では大変広く使用されている技術である一方で,生体へ埋め込む細胞スケールまで小さいタグについては,安価なタグをどのように作成し,どのように埋込み,長期間安定に発信させるかについての技術は発展途上にあることが挙げられる.本研究は,これまで高額かつ難解なMEMSプロセスより製作させていたICタグを,ウェットな環境下においても安価でロバストな発信が期待できる磁場を使用した新しいタイプのタグを生み出すことを目標として研究を行った. 研究の初期ステージではホール素子等を原理としたTMRセンサをアレイ状に並べてセンシングを行う予定であったがコストやハイスループット製において将来的に実用化へ結びつくために,より安価かつ2次元情報を一度にセンシングできる磁気光学系のMOセンサを採択した.その結果,自作したマイクロ磁気タグの磁気フィールドイメージング情報を得ることに成功した.さらにこれまで自作した磁気タグを前もって着磁して埋め込んでからセンシングを行うことをしていたが,その方法であると時間とともに磁束密度の低下が観察されてしまうため,数ヶ月以上の磁気情報の保持には問題があったが,今回新たに磁気アシスト法による磁場増幅センシング法を考案し,着磁不要で,計測時に着磁しながらセンシングを行うといった新しい計測方法を具現化することに成功し,その問題を解決した.最終年度にはナノ粒子を埋め込み高周波電場を印加することによる新たなタグセンシング手法の可能性とその実証実験を行うことに成功し,磁場だけでなく温度によるセンシング法を追加することにより,より高機能高精度なタグ技術へとつなげる可能性を示すことに成功した.
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