研究課題/領域番号 |
17K18858
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
細矢 直基 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (40344957)
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研究分担者 |
前田 真吾 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (40424808)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 誘電エラストマーアクチュエータ / スピーカ / 音響放射特性 / 点音源 / 無指向性 / 指向性 / 風船 / 3次元変形 |
研究実績の概要 |
生体組織の病変を早期に発見するために,生体組織を外部から加振し,その際の応答を核磁気共鳴画像法 (Magnetic Resonance Imaging: MRI) により,生体組織に伝播する波動を可視化し,その弾性率を評価する方法として,Magnetic Resonance Elastgraphy (MRE) が検討されている.しかし,広範囲な弾性値を持つ様々な生体組織に対応するためには,十数Hz~数十kHzまでの広帯域な周波数成分を含む入力が必要であるが,加振器のような接触式デバイスでは非常に軟らかい生体組織に対して広帯域な周波数成分を含む入力を作用させることができない.所望の音響放射パターン(指向性)に単一デバイスで制御できる,直径数mmの大きさの誘電エラストマーアクチュエータ (Dielectric Elastomer Actuator: DEA) を音源デバイスとして,内視鏡に実装し,生体組織を内部から点または面で加振できれば,生体組織の可視化における時空間分解能が向上し,病変の早期発見に大きく寄与することから,MREのような検査技術を革新的に発展させることができる.本研究では,生体組織を内部から非接触非破壊で加振するための音源デバイスとして,一体成形された自由曲面DEAを実現することで,所望の音響放射パターンに単一デバイスで制御する. 平成30年度には,DEAの高効率化を実現するために,最適な柔軟電極の生成方法を検討した.これにより,同じ駆動電圧で従来よりも大きな変位量を実現できた.また,DEAを空気圧で膨らませ風船状に成形することで,風船型球面DEAを実現した.さらに,応用関連研究としてDEAを用いた変形可能なモーターを実現した.これらは国際的な研究論文雑誌でオープンアクセスとして公表された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度には,(1)カーボンナノチューブを用いた柔軟電極を有するDEA,(2)風船型球面DEAスピーカ,(3)DEAによる変形可能なモーターについて検討し,これらを国際的な研究論文雑誌でオープンアクセスとして公表した. (1)では,柔軟電極をカーボンナノチューブとし,これを刷毛で塗布し配向させることで,同じ駆動電圧において変位量を大きくすることに成功した.カーボンナノチューブはアスペクト比(直径に対する長さの比)が大きいため,これを刷毛で塗布することで所望の配向を実現した.DEAの変位量を無配向電極と配向電極とで比較したところ,変位量が13.7%増加した. (2)では,円盤状のDEAを空気で膨らませることで風船型球面DEAを実現した.そして,これをスピーカとして性能評価試験したところ,音響放射範囲が0度から270度,駆動可能周波数が16 kHz,駆動電圧が800 Vであった.また,風船型とすることで,DEAの予ひずみ量を約3033%にすることができた. (3)では,本研究課題の応用関連研究として,やわらかく,そしてそれが変形しても駆動できるという特徴を利用して,大きな変形を許容するDEAモーターを実現した.
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度は,本研究の成果を国際的な研究論文雑誌に投稿することで,本研究により得られた知見を国内外に公表することに努める.また,特に国内に向けては,研究会などで発表することでも対応する.さらに,本研究を発展させることで指向性制御(音を単一デバイスで集音したり拡散したりすること)を試みる. DEAスピーカのさらなる性能向上,DEAのソフトロボット用アクチュエータとしての応用などを踏まえ,複素振動モード制御,柔軟電極材料を検討していく.また,DEAを用いた振動制御への応用も検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
【理由】 本研究の目的をより精緻に達成するためには,本研究で得られた成果を国際的な研究論文雑誌に論文として投稿し,国内外に公表しなければならない.そのため,次年度使用額が生じた. 【計画】 本研究で得られた成果を,国際的な研究論文雑誌に投稿する論文の翻訳・校正,投稿料などに使用する.また,国際会議に参加するための旅費としても使用する.
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