研究課題/領域番号 |
17K18860
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
福田 敏男 名城大学, 理工学部, 教授 (70156785)
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研究分担者 |
市川 明彦 名城大学, 理工学部, 准教授 (20377823)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | がん診断 / 医療デバイス / マイクロ流体チップ / MEMS / バイオMEMS |
研究実績の概要 |
平成29年度の実績として,以下の項目について実施した. 1.マイクロ流体チップでの正常者とがん患者の尿を用いた誘導実験 名古屋大学医学部と協力し,倫理審査を申請して25名分の正常者およびがん患者の尿を入手し評価を行った. 2.電極を用いた線虫の検出について,チップの作成と評価 これまでは線虫の通過を顕微鏡にてカウントしていたが,電極をマイクロ流体チップ内部に作成し,静電容量センサとしてもちいることで,線虫の通過を電気的に判別する手法を行った. 3.正常者及びがん患者の尿を用いた線虫の誘導評価 1に関連し,線虫が誘引されやすいがん患者の尿の濃度を調査するため,培地上に正常者およびがん患者の尿を滴下し,どの程度線虫が誘引されるかの評価を行った. 4.マイクロ流体チップ内部での濃度勾配の評価 1,3に関連し,マイクロ流体チップ内部に尿を流しいれた際に,流路全体に尿が拡散してしまう問題があった.そこで,着色料を流しいれて濃度勾配について評価を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の実績として,以下の項目について実施した. 1.マイクロ流体チップでの正常者とがん患者の尿を用いた誘導実験 名古屋大学医学部と協力し,倫理審査を申請して25名分の正常者およびがん患者の尿を入手し評価を行った.しかしながら,マイクロ流体チップ内部で拡散が急速に発生し,分岐部分を過ぎて尿が拡散したため,評価が困難であった. 2.電極を用いた線虫の検出について,チップの作成と評価 これまでは線虫の通過を顕微鏡にてカウントしていたが,電極をマイクロ流体チップ内部に作成し,静電容量センサとしてもちいることで,線虫の通過を電気的に判別する手法を行った.結果として,線虫通過時に静電容量が変化し通過の判別を行うことができた. 3.正常者及びがん患者の尿を用いた線虫の誘導評価 1に関連し,線虫が誘引されやすいがん患者の尿の濃度を調査するため,培地上に正常者およびがん患者の尿を滴下し,どの程度線虫が誘引されるかの評価を行った.患者の尿を10倍,25倍,50倍,100倍に希釈して寒天培地上に滴下し,そこに線虫を30匹以上投入してその動きを観察して,どの程度の希釈で線虫が最も誘引されるかを評価した.結果,25倍希釈が最も適した濃度であった. 4.マイクロ流体チップ内部での濃度勾配の評価 1,3に関連し,マイクロ流体チップ内部に尿を流しいれた際に,流路全体に尿が拡散してしまう問題があった.そこで,着色料を流しいれて濃度勾配について評価を行った.着色料としてクリスタルバイオレットを用いて評価し,結果,拡散が早く,流路全体に3分程度で着色料が流路全体に拡散していることが分かった.今後は,この拡散を流路の分岐部分までに抑えるように,流路形状や投入する溶液の粘度を変える必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
現在の課題として,マイクロ流体チップ内部の溶液の拡散が3分程度でチップ全体に拡散してしまうため,これを抑える必要がある.対策として,投入する溶液の粘度を変えて拡散するまでの時間を抑えることと,流路の形状を変えて分岐部分にスペースを作ることで,線虫が移動しやすくかつ拡散しきらないスペースを作成することを検討する.
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