研究課題/領域番号 |
17K18861
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
牧川 方昭 立命館大学, 理工学部, 教授 (70157163)
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研究分担者 |
塩澤 成弘 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (30411250)
岡田 志麻 立命館大学, 理工学部, 准教授 (40551560)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 粘性 / 衝撃吸収 / スポーツ装具 / サポータ / インソール / テーピング / 高速運動 / 運動軌跡 |
研究実績の概要 |
本研究では、力学的に衝撃を吸収するためには粘性要素の存在が不可欠であることから、“粘性”に着目したスポーツ装具の開発研究を実施している.研究項目は、1)“粘性”要素を追加したスポーツ装具の開発研究とその定量評価方法の検討、2) テーピングを対象としたスポーツ装具の定量評価方法の開発、3) ”粘性”スポーツ装具による関節運動軌跡の矯正の可能性の検討、の3つである. 研究2年度には、テニスを対象に粘性サポータを開発し、テニス肘予防の効果を検討した.現在、テニス肘が発症したときに使用する肘に装着するサポータはあるが、テニス肘の原因となる手首への衝撃を軽減することができないため、テニス肘の予防に使用することができない.そこで本研究では、衝撃を吸収することができる粘性に着目し、テニス肘を予防することのできる粘性と弾性を組み合わせた粘弾性サポータを開発した. 使用した粘性サポータは、市販の弾性サポータに粘度の異なる2つの粘性シートを貼り付けることで、2パターンの粘性サポータを作製した.また、粘性サポータの衝撃吸収量の計測には加速度センサを使用し、同時に筋の機能の違いを明らかにするため、表面電極による筋電位計測を行った.実験では、被験者はフォアハンドストロークでボールを5回打ち、粘性サポータを着用していない状態、市販の弾性サポータを着用している状態、粘弾性サポータ(粘度30および50)を着用した状態の4条件で行った.その結果、粘度50の粘性サポータ、粘度30の粘性サポータ、弾性サポータサポータなしの順に衝撃軽減量が増加した.これらより、粘性サポータの衝撃吸収性能が確認できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、研究項目(1)“粘性”要素を追加したスポーツ装具の開発研究とその定量評価方法の検討、研究項目(2)テーピングを対象としたスポーツ装具の定量評価方法の開発、研究項目(3)“粘性”スポーツ装具による関節運動軌跡の矯正の可能性の検討の3つの項目を3カ年にわたって実施することとしており、この予定に沿って研究を実施している.
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度においては、当初の計画通り、粘性スポーツ装具による関節運動軌跡の矯正の可能性の検討を実施する. ところで、スポーツ装具に粘性要素を追加することの利点としては2つ考えられる.1つは衝撃力が人体に加わった際に、衝撃力のピーク値を低減させ、且つ衝撃エネルギーを吸収、熱として放散させることで、人体の骨格-筋系システムへの衝撃を低減させる点である.もう1つが腕、脚などの質量を持った物体の急激な運動に対して抵抗力を発生させる点である.従って、後者の利点を使えば、“日常生活における通常のスピードの腕、脚の動きは阻害せず、早い動きに対しては抵抗力を発生させるようなサポータ、テーピング”を実現することができることが期待される. この研究項目では、テニスラケット、野球バット、ゴルフクラブなどの高速の運動に対して、手首の関節、肘関節に研究項目①で開発した粘性テーピング、サポータを適用し、スイング軌道がどのように変化するのか、所定のスイング軌道に矯正させるにはどのような粘性がスポーツ装具の設置が必要であるかなど、“粘性スポーツ装具”による関節運動軌跡の矯正の可能性について検討を加える.
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