研究課題
本研究では、摩擦に関わるソフトマテリアル部材に係り、摩擦に関わる界面上に凹凸構造を可逆的に発生させることで、摩擦力を大きくかつ必要な時に変化させる、という新しい技術拡張のコンセプトの実証を目的として、ゴムと織布の複合摩擦制御表面材の実用に向けた大面積化法の確立、自発変形ゴム材、織布、硬質ビーズ等からなる複数の新規摩擦可変複合材の提案等を行った。このコンセプトの実用化に向けては、多くのハードルがあるが、まずはそのコンセプトの様々な場面で適用性を評価するための試料が必要である。特にその大きさが応用に応じて異なることを考慮し、大面積を有する摩擦可変試料(織布―ゴム複合体)の作製法を確立した(数十センチ以上の面積)。一方で、本コンセプトを実証するために、それまで報告していた、座屈に基づく表面の可変シワとは異なる機構も複数提示した。その一つに、硬質ビーズとゴムの複合体があり、この場合、表面の凹凸を部材への延伸操作で可逆的に発生できる。また、液晶エラストマーと織布の複合体では、材料の温度応答性変形を利用した表面構造変形を利用した仕組みを開発した。両例共に摩擦や付着力の大きな可逆変化が可能であり、提案コンセプトを良く実証するものである。これらの結果は、ロボットハンドやスマート触感インターフェース、搬送技術、一時接着技術等への応用に向けて具体的な機構案を提示しており、実応用にむけての更なる技術の先鋭化に繋がる成果である。
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