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2017 年度 実施状況報告書

酸化物中のプロトン制御による人工知能用アナログ電子デバイスの研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K18869
研究機関東京大学

研究代表者

矢嶋 赳彬  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (10644346)

研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2019-03-31
キーワードプロトン / 揮発性 / アナターゼ薄膜
研究実績の概要

本研究では、人工知能が様々な局面で示す「揮発性」に着目し、「揮発性」デバイスによって人工知能のハードウェアを構成するための手掛かりを得ることを目的としている。そのような揮発性デバイスの一つとして、我々はアナターゼ相の多結晶TiO2薄膜を用いたデバイスに着目した。このTiO2薄膜は、室温で電気化学的に容易に水素を取り込み電気伝導性を示すが、大気中では取り込まれた水素は容易に放出されるという大きな揮発性を示す。我々は、これを実際にSiO2上のTiO2多結晶薄膜において実践し、それをベースにして揮発性デバイスを作製できるのではないかと考えた。
その結果、意外にも、SiO2上のTiO2薄膜では、とりこまれた水素がSiO2との界面に固定化され、不揮発化することを明らかにした。水素が実際に界面で固定化されることは、重水素をSiO2上のTiO2薄膜に導入し、表面・粒界吸着水中の軽水素と区別して、SIMS測定を行うことで実証した。この結果は、TiO2薄膜中の水素は揮発的だが、SiO2との界面の水素は不揮発化することを意味している。
さらに粒界が水素分布に及ぼす影響を明らかにするために、水素をドープしたTiO2多結晶薄膜のコンダクティブAFM測定を行った。水素はTiO2中で電子のドーパントとなるため、電気伝導性の分布から水素の分布を推察することができる。その結果、水素は粒界に殆ど影響されることなく、他結晶薄膜全域にほぼ均質に分布することが分かった。これは水素の面外方向の動きを利用して揮発デバイスを作製する上で、大きなメリットになると考えられる。今後は、TiO2薄膜とその界面とを基本的な構成要素として、水素をベースとした揮発的な電子デバイスを設計していくことを目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

水素を利用した揮発性デバイスを設計するにあたり、材料同士のヘテロ界面が水素の揮発性・不揮発性に大きく関係することを明らかにすることができた。

今後の研究の推進方策

初年度の研究では、TiO2界面が水素の不揮発性を有することを発見したため、そこに着目して研究を進めてきた。今後はTiO2自身が持つ水素の揮発性についてより系統的な研究を行うとともに、界面や異種材料との組み合わせによって生まれる水素の機能性を追求していきたい。

次年度使用額が生じた理由

当初は電気化学的な視点からの評価装置の購入を考えていたが、固体デバイス特有の界面効果などが明らかとなり、研究の方向性の修正が必要となったため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Hydrogenation of The Buried Interface as A Stable Nano-Doping Technique to Oxide Semiconductors2017

    • 著者名/発表者名
      Takeaki Yajima
    • 学会等名
      MRS Fall Meeting
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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