研究課題
(1)電子構造の最適化(バンドエンジニアリング):α-Fe2O3は可視光のエネルギーに相当するEg(~2.2eV)を有している。α-Fe2O3これを狭帯域化することで、吸収波長域を近赤外波長まで拡張し、光電変換特性の向上を目指した。まず、Rh置換と同等の効果を実現する資源豊富な元素探索として、主にAl,Mg,Ti,MnおよびV等の高クラーク数元素を検討した。カチオン d-d間クーロン反撥と酸素2p間の電荷移動エネルギーとの拮抗効果を利用した。(2)スピン秩序整列制御による励起キャリア寿命化:スピン秩序制御の観点から、α-Fe2O3の光電特性の向上を目指した。α-Fe2O3は異方的な電気伝導性(100面内スピンが平行、001面間方向のスピンが反平行配列)を示すことから、特に[110]方向に最もキャリア(電子、ホール)が動きやすくなっていることが示唆される(110方向3x10-4(Ωcm)-1、001方向5x10-8(Ωcm)-1)。したがって、下部電極上に[110]方向にα-Fe2O3層を成長させることで、光を吸収したときに生成する電子‐正孔対の励起寿命が最大となって、光電変換効率の増加大が期待できたため、結晶工学的方位制御を併用した。(3)スピン太陽電池による有効電荷蓄積機能付与、およびスピン三重項利用による高効率化:先行実験の成果をもとに、p型層が磁性半導体からなるpn接合において光照射を行うと、スピントンネリングの整流効果によりスピン蓄積が期待され、非磁性pn接合より高効率の起電力が予測された。さらに従来にない新しいアプローチとして、Fe3+の持つ大きなスピン(S=5/2)の秩序制御により、磁気抵抗異方性制御(光キャリア輸送能向上)、並びに格子歪誘起結晶場による三重項状態を活用した励起キャリア長寿命化を試み、電子-正孔分離効率の向上による効率化を図った。
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