研究課題/領域番号 |
17K18871
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
杉浦 慎哉 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30394927)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | Faster-than-Nyquist信号伝送 / FTN / ナイキスト基準 / 伝送容量 |
研究実績の概要 |
現在実用化されている無線通信システムのほとんどはナイキスト基準で定義される伝送レート上限に従っており、これ以上の通信回線大容量化および高速化のためにはより多くの周波数帯域を確保することが前提となる。本研究では、ナイキスト基準の限界を超える (Faster-than-Nyquist; FTN) 信号伝送を対象として、FTN送信機の設計指針を確立することを目的とする。さらに、提案したFTNシステムに対して最新技術を用いた解析を行い、FTNの理論体系を構築する。
初年度である平成29年度は、大容量伝送の観点からFTN送信シンボルの設計を行った。特に、FTN送信機からの送信フレームはパイロット部とデータ部に分かれているが、それぞれについて設計を行い、周波数利用効率と通信品質の観点から送信信号フレーム全体を提案した。このとき、データ部と同様にしてパイロット部もFTN信号間隔で送信することを前提とし、復号したFTNデータ部をパイロットシンボルとみなすことによるパイロット部とデータ部の同時推定が可能となった。この際、シンボル間干渉を適切に取り除くために、各送信フレーム内にプレフィックスとサフィックスを適切に設計・挿入する。さらに、受信機において周波数領域等価を利用した低演算受信を可能にするため、FTNに適したパイロットシンボル系列を配置した。
これらの成果の一部についてはIEEEジャーナルへの投稿を行っており、既に複数が採択に至っている。現在、次のステップとして提案技術群の総合評価を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成29年度計画の主要なテーマであったFTNの送信フレーム設計について実施しており、当該年度にジャーナルへの採録を達成できている。これらを踏まえて、平成29年度は当初の計画以上に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、提案FTNシステムの伝送容量の理論上限を導出する。
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次年度使用額が生じた理由 |
システム開発や理論検討を含めた研究が想定以上に進んだことにより、出張を伴う対外発表を次年度以降の実施に変更したため。
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