研究課題/領域番号 |
17K18876
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
千田 有一 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (00345753)
|
研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
|
キーワード | 離散値入力 / 履帯車両 / 経路追従制御 / モデル予測制御 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、(課題1)として、 モデル予測制御ベースのオン/オフ切り替えを少なくした操舵制御による方法論の構築と実験検証に取り組んだ。そのため、まず始めにクローラを用いた実験装置の構築を目指した。当初は農業機械レベルの実験装置とすることも検討したが、装置が大掛かりとなり取り扱いが容易ではないこと、開発予算の不足により実現できない可能性があることが判明し、計画を変更した。変更後の装置設計として、実験室レベルで扱える程度のコンパクトな装置とすることとした。その結果、履帯やモータ等のパーツを組み合わせたオリジナル設計での装置とする必要が生じ、設計製作に時間を要した。開発中の装置はモータ駆動ではあるが、研究目標としての性能検証が可能な履帯車両として設計している。装置の製作について若干の遅れが有るものの、平成30年度の初旬には実験可能なシステムとして実現できる目途を得た。一方、方法論の開発については、切り替え回数を少なくし、なおかつ一定値に追従制御するための方法について検討を行った。その過程において、オン/オフ操舵制御問題は、本質的に離散値入力によるアクチュエータシステムの制御問題となっていることから、研究代表者がこれまで実施してきた研究課題の一つである、オンオフ弁によって駆動される空圧式除振台のアクティブ制御方法と同様の考え方が適用できることを見出した。そこで、空圧式除振台の制御方法として検討してきた知見の応用可能性について検討を行った。その結果、サーボ問題に対する制御設計方法など、幾つかについて応用可能であることが判明し、それらについての適用検討を開始した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の計画として、「(課題1)モデル予測制御ベースのオン/オフ切り替えを少なくした操舵制御による方法論の構築と実験検証」に取り組んだ。当初の計画では、農業用運搬車を改造した実験装置による実験を計画していたが、機械的なガタが大きく、性能検証用実験装置としては不十分な性能であることが判明した。そのため、方針を変更し、実験室レベルで取り扱えるコンパクトな実験装置を自作によって設計製作する計画に変更した。その結果、履帯やモータ等のパーツを組み合わせ、オリジナル設計での装置とする必要が生じた。さらに、筐体の加工などを行い、実験装置として製作した。現在、メカ系の製作は完了しており、電気系の製作後、制御プログラムを搭載して制御実験を実施する。制御実験は平成30年度前半までに実施できる目途を得ているが、若干の遅れがある。ただし、方針変更の影響は最小限に抑え、研究計画を着実に進めている。一方、制御の方法論についての検討も実施したが、その過程において、オン/オフ操舵制御問題は、本質的に離散値入力によるアクチュエータシステムの制御問題と同一の問題であることから、研究代表者のこれまでの研究成果を応用できる可能性を見出した。そのため、研究代表者のこれまでの研究課題の一つである、オンオフ弁によって駆動される空圧式除振台のアクティブ制御方法を応用することで、より効果的な制御方法として実現できる可能性がある。以上より、平成29年度の計画について一部は未了となっているものの、発展性の期待できる新たな方向性も見出すことができており、概ね計画通りに進展できている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度では、開発中の履帯車両実験装置を完成させ、前年度の計画であった、「(課題1)モデル予測制御ベースのオン/オフ切り替えを少なくした操舵制御による方法論の構築と実験検証」について、一定の成果を得ることを目指す。基本的な方法論については既に見通しを得ているため、実験によってその検証を行うことが主たる計画である。そのため、装置が完成すれば実験実施可能である。次に、平成30年度の計画であった、「(課題2) 制御対象の姿勢変動,圃場の勾配の影響を考慮した操舵制御方法の構築を行う」について取り組む。まず、クローラ系を5次元の動的モデルとして表し、その運動解析を行う。さらに、開発した実験装置を用いてその運動を評価する。その際,運動制御の方法としては、モデル予測制御に基づいた制御方法として実装する.以上について、まず平坦地を想定した制御実験を実施し、その後に勾配のある地面を想定した実験によってその性能を検証する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に性能検証用の実験装置を設計製作する計画で進め、完成を目指していた。その中でセンサの新規購入を予定していたが、そのセンサの納期が年度内に間に合わないことが判明した。そのため、そのセンサについては平成30年度での購入とするため、使用額に残額が生じた。
|