「(課題1) モデル予測制御ベースのオン/オフ切り替えを少なくした操舵制御による方法論の構築と実験検証」については,従来の方法を改良した方法を開発した.すなわち,切替回数の抑制ペナルティを考慮したモデル予測制御問題に定式化し,計算機シミュレーションでの性能検証に加え,履帯車両実験装置を用いた制御実験によってその性能を検証した.さらに,オンオフ駆動型の履帯車両制御に,時間軸状態制御系を応用する方法についても検討を行った.その結果,従前の方法をそのまま適用すると,制御性能が劣化することが判明し,それを改善する方法として時間軸のスケールをサンプル点ごとに変化させる新たな方法を提案した.この方法によれば,走行速度を一定とする必要が無いため,実用性の高い方法として提案することができた.新たに提案した方法の有効性は,計算機シミュレーションと制御実験によって検証を行った.これによって,課題1については,当初計画を大幅に上回る成果を得ることができた.次に,「(課題2) 制御対象の姿勢変動,圃場の勾配の影響を考慮した操舵制御方法の構築」については,実験環境を勾配をつけた形に改造し,評価試験を行った.サーボ型の経路追従制御法について検討を行い,オン/オフ型の離散値入力操作の場合、定常偏差無しでのサーボ型目標値追従制御の構成は原理的に困難と考えられるため,連続値入力の場合に比較して性能は劣化するものの,計算機シミュレーションによって一定の性能が得られた.さらに,「(課題3) 傾斜地における操舵実験を実施し,自動操舵制御技術の検証を行う」については,実験的に性能検証を行った.その結果,一定の性能が得られたものの,履帯の滑りに対する補償の必要性が明確化された.
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