本研究は二つの研究段階に分けて推進した。最初の段階としてH29年度は1THzの超高繰り返し光パルス列の生成を目指し、100GHzの間隔で波長の異なる複数の光波を生成しこれらを合波することでまず100GHz繰り返しの光パルス列を抽出した。具体的には半導体レーザからの連続光を共振型光位相変調器を用いて光コムを発生しそこから波長選択スイッチを用いて5光波を選択する手法を確立した。次に100GHzの倍数の繰り返しパルス列を生成するため、100GHzのパルス列を複数光路に分岐し、それぞれに遅延を施して再び合波して時間多重を行う方法を確立した。 第二暖段階としてH30年度は、1THz繰り返しの光パルス波のそれぞれに位相シフトを与えることを検討した。位相シフトのため光位相変調器を用いることとし、光位相変調器の変調速度が100GHz未満であることを考慮して、前述の時間多重する前の光パルスに変調をかけ、位相シフトされたそれぞれの光パルスを時間多重することで、1THzの繰り返し光パルスに結果的に位置変調がかけられることを、自己相関波形による実験で確かめた。このようにして生成した変調された光パルス列をフォトミキサで光電変換し位置変調されたテラヘルツパルスの生成を試みた。光電変換後のテラヘルツパルスにおいてパルス波形のなまりが観測され、これはもとの複数光波間の強度のバランスを不均衡にすることで解消できることを提案、実証した。これらの成果を国際会議に5件、国内学会に6件発表した。
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