研究課題/領域番号 |
17K18893
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
井上 曜 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 講師 (30723770)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 反射型ディスプレイ / 液晶 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、環境光の多い屋外での鮮明な画像表示が可能になる反射型ディスプレイの駆動原理の提案と、そのデバイス作製を行う研究である。反射の機構には、コレステリック液晶とよばれる材料を用いる。今年度はまず、カラー表示を行うための技術として、電界印加によりコレステリック液晶の反射色を変えることが可能な素子構造を作製した。螺旋軸に垂直な電界を印加することにより、螺旋周期が増加し、反射色が青色から近赤外領域まで連続的に変化することが見出された。これは、電界強度により、任意の反射色を選択することが可能であることを示しており、動的制御が実現された。また同時に、高電界領域では、本来無偏光の光を50%しか反射することが出来ないコレステリック液晶において、70%まで反射率が増加するという従来では想像できない結果が得られた。これに対し、数値シミュレーションを行い、螺旋構造の歪みにより反射率の増加が起こっていることが理論的にも証明された。すなわち、29年度の研究成果により、反射率の増加、及び反射色の制御が実現可能な素子構造を見出すことに成功し、反射型ディスプレイ実現に向けて前進した。 一方で、コレステリック液晶を用いた反射型ディスプレイを実現するためには、視野角特性の改善が必須となる。29年度の成果は、視野角特性を改善する手法ではないため、現在の素子構造に視野角特性を改善するための工夫が必要になる。今後は、液晶を封入するガラス基板上に周期的な凹凸を形成させ、螺旋構造を曲げることにより視野角特性の改善を狙う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要で説明したように、新しい成果が得られたが、本来計画していた視野角特性の改善にはまだ着手できていないため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本研究課題の主題でもある、コレステリック液晶を用いた反射型表示技術の視野角特性の改善に関する研究を進めていく予定である。具体的には、液晶を封入するガラス基板上に周期的な凹凸を形成させ、螺旋構造を曲げることにより視野角特性の改善を狙う。その他にも、電界分布を制御することにより、螺旋構造を曲げるアイディアなどを実施していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた波長可変色素レーザーの購入を中止したため、残予算が発生した。今後は、ロックインアンプや電力増幅器などの機器の購入に当てる予定である。
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