研究課題/領域番号 |
17K18896
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
原田 秀樹 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (70134971)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | rRNA定量 |
研究実績の概要 |
本課題で開発している定量法を相対量定量から絶対量定量へ改良した。相対量定量の場合、内部標準となるカバレッジの大きいプローブを標的グループのプローブと同じ交雑条件で使用しなければならず、設計が困難であった。そこで、蛍光標識プローブについては予め濃度と蛍光強度の検量線をとっておき、RNAは吸光度によって濃度を測定することで、RNA量に対するプローブ量が把握でき、プローブの交雑効率の算出が可能となると考えた。この定量法が実施可能かどうかを、ARC915mプローブとMethanosarcina mazei(標的)とEscherichia coli(非標的)のRNAを用いて評価したところ、特異的検出が可能な交雑条件下で定量値を算出することができた。絶対量定量法へ改良することで、アプライできるプローブの数が増やすことができるほか、内部標準プローブが必要なくなったため、交雑条件が他のプローブと著しく異なるプローブであっても適用可能になると判断された。また、絶対量定量の分析をモノクロメーター式プレートリーダーによってハイスループットに実施するためのプレートの選定を行った。相対量定量時には、蛍光強度のみの測定であったため、蛍光ノイズが低減可能な底面及び側面が黒色のプレートを使用していたが、RNAの吸光度とプローブ由来の蛍光を同時に測定するためには、底面の材質がUV波長透過性であり、且つ蛍光ノイズが低いプレートを改めて選定する必要があった。石英製プレートは蛍光ノイズが高く、ポリプロピレン製プレートなどはUV領域のノイズが高に傾向であった対し、シクロオレフィン樹脂製プレートはUV、蛍光とも比較的ノイズが低く、本定量法に適用可能な性能をもっていると判断された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
定量法を改良することにより、内部標準プローブを併用する必要がなくなったためにプローブの設計が容易になったこと、また、分析をハイスループットに行うためのプレートの選定ができているなど、概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は環境試料から抽出したRNAへ本定量法を適用し、複数種のプローブを用いたマルチプレックス定量を実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
絶対量定量を行うための検討が予定よりも順調にいったため。様々な環境サンプル中に存在する微生物の定量を行うときの各種プローブや抽出試薬の他、他の技術と定量値を比較検討するための試薬の購入に使用する。
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