研究課題/領域番号 |
17K18900
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田代 むつみ 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任講師 (00422759)
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研究分担者 |
森川 高行 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (30166392)
三輪 富生 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 准教授 (60422763)
金森 亮 名古屋大学, 環境学研究科, 研究員 (40509171)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 運転ストレス / 経路探索 / 心拍 / レーンレベルナビゲーション / 走行実験 / 合流調停 / 交通マネジメント |
研究実績の概要 |
これまで,カーナビゲーションシステムにおける経路探索では,距離や所要時間,移動費用など,効率性や経済性に関する指標が用いられてきた.しかし,高齢者ドライバ割合の増加や人口減少に伴う総交通量の減少が予想される現在では,単に早く・安く目的地に到着するだけでなく,ドライバの安全性や快適性の向上も期待されており,これら心理的要素の指標化が課題となっている. 本研究では,運転中にドライバに派生するストレスを,安静時からの「心拍数」の変化により定義し,車両から得られるデータや周辺の道路環境などの「運転ストレス要因」から予測するモデルを構築した.過去に名古屋市内で実施した,学生3名高齢者3名,計6名の被験者による走行実験のデータを使用し,運転時の心拍数に影響を与えると思われる項目を,CANデータおよび動画データから1秒毎に抽出した.そして,個人の違いも考慮するため,被験者毎に心拍数推定モデルを作成した.一連の検討の結果,運転ストレス要因とした説明変数には交互作用(例えば,中央分離帯が無い時の方が速度の増加により心拍数が上がりやすいなど)があり,これを適切に考慮することで,運転時の心拍数を高い精度で予測できることが明らかになった. 続いて,構築したモデルを用い,運転ストレスを探索コストとした経路探索を実施した.運転ストレス要因の定義には,道路の車線数や走行車線位置,車線変更など,レーンレベルの概念が必要であることから,レーンレベルの仮想道路ネットワークを作成し,個々のドライバにとって最もストレスが小さくなる経路をレーンレベルで探索した.さらに,走行実験により提案手法の有効性を検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,研究代表者らが所属する名古屋COI拠点と連携して実施しており,概ね順調である.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度からは,個別最適から全体最適への展開を行う.すなわち,全ての車両が,運転ストレスが少なくなるように探索された経路を走行しており,さらに個々の車の予定経路と現在位置が集約された条件下において,車両同士が協調して交通流を最適化するための調停アルゴリズムを検討する.より具体的には,信号の無い交差点を想定し,2台の車両の同時進入が予測された場合に,コンフリクト回避のために,各車両に加速・減速・車線変更・一時停止などの制御を行うことを考える.ミクロシミュレーションにより各車両の将来挙動を先読みし,交差点におけるコンフリクト発生を事前に予測した上で,全体が最適となるように,コンフリクト回避のために各車両が取るべき行動を決定する.最適化指標としては,まずは簡単のため旅行時間を用いることとし,合流調停前後において対象車両の旅行時間の総和が全体として最小となるように,コンフリクト回避方法を決定する.また,最適化の範囲としては,始めにコンフリクト対象となる2台の車両のみを対象とした後,周辺車両も含めた交通流全体の最適化についても検討する.また,車両台数や交差点形状によって,抽出される調停パターンにどのような影響があるかについても系統的に調べる.並行して,最適化指標への運転ストレスの検討も行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は,過去に実施した実験データを利用してモデル構築を先行して実施したため,データ解析用の外注費等は次年度に使用することにした.研究は概ね順調に進行しており,当初の計画通り仕様予定である.
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