多次元方向の応力測定が可能な新しい原理の開発成果として,圧力に応じて弾性的に形状が変化し,導電性が大きい低抵抗の粒子である感圧導電性粒子を用いた応力計測を検討した.感圧導電性粒子群に荷重が加わると,感圧導電性粒子群全体の接触面積が大きくなり,群全体としての抵抗は減少すると考えられる.この考えのもと,感圧導電性粒子を用いて,ひずみゲージに替わる,座屈やたわみの問題がない新たな圧縮応力測定に関する原理を導き出せると考えた. 本研究では,感圧導電性粒子群を用いた応力測定の原理の,多次元応力測定への適用について検討する.抵抗値変化を複数の方向で行うことで,一台の測定器による多次元方向の圧力測定ができる可能性があると考えた.3次元圧力計の基本構造として,感圧導電性粒子群による半球型の集合体を考案した.粒子群にかかる圧力によって抵抗値が減少するが,圧力と抵抗値の関係をより明確にするためにいくつかの条件が考えられる.異なる形状,条件で粒子群をパッキングしたモデルに載荷・除荷試験を行い抵抗値の変化を計測し, 計測器内部にある粒子群がよりセンサーとしての感度,精度に優れるような粒子群の固定状態について考察した. その結果,仕切の設置が土圧計の性能向上に寄与できていない可能性が示された.加圧が土圧計に与える影響は,3Dモデルの仕切の有無によって効果が逆転した.土圧計における仕切は,粒子群の絶縁以外にも重要な影響を与えていると考える.エポキシ樹脂に関しては土圧計の精度を高める効果が期待できる.
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