研究課題/領域番号 |
17K18907
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
岡村 未対 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (50251624)
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研究分担者 |
二宮 崇 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (20444094)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 堤防 / パイピング / 遠心模型実験 |
研究実績の概要 |
降雨や高水の浸透により生じる堤体形状の微小だが特徴的な変形パターンを精緻な実験により明らかにした。そこでは,降雨と洪水の外力パターンを変化させ,堤体表面形状の高精度3次元測定を行い,浸水や侵食,堤体劣化の進行に伴って生じる微小で特徴的な表面形状変化パターンを特定した。実験には,任意強度の降雨,任意のハイドログラフを模した高水,および地震の作用を多数回繰返して堤防模型に作用させることが出来るよう改造した遠心模型実験装置を用いた。これに3次元レーザー高速プロファイラを搭載し,遠心加速度場にて降雨と高水を外力として与え,表面全体高さを0.01mmの精度で精緻に計測した。 続いて,近年の高水で変状が発生した堤防の現場において,堤体表面形状をUAVからのステレオ写真およびレーザー測量により詳細に測定し,上述のモデルで堤体の内部状況を推定し,現場で行われた詳細な調査結果と比較することによりモデルの推定精度を確認した。これを近年の高水により噴砂や漏水が生じ,あるいは法面が滑り変状を生じたがそのまま放置されている堤防(那賀川の楠根地区,後川,重信川において実施した。その結果,レーザープロファイラーでは点密度が数百点/m2程度以上で,除草後2週間程度以内であれば,堤体表面の形状DEMを適切に取得できた。また,実際の堤防においても過去に噴砂等の変状が生じた箇所において堤体表面が特徴的な変形をしていることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた実験を実施し,堤体表面に現れる特徴的な変形を特定することができた。また,近年噴砂等の変状が発生した河川堤防での表面形状計測を行い,特徴的な変形が生じている箇所がパイピング発生個所と対応していることを突き止めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年は前年に引き続いて現場での計測事例を増やすとともに,パイピング部を特定するための高密度貫入試験を実施する。また,堤体表面のDEMから変状箇所を自動抽出する技術開発にも挑戦する。
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次年度使用額が生じた理由 |
レーザープロファイラー等による河川堤防のDEM取得に際し,本年は国土交通省の有するデータを使用することができたため,費用が削減できた。この分は,H30年度での調査地点を増やし,堤防表面DEMを取得することに使用する。
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