本研究では、申請者が所有するマイクロフォーカスX線CT装置を用いて、実際の植物の根の構造について解明することを試みる。ここでは、実際の植物を対象として、特にアンカー的適用を対象とした引抜き荷重を作用させた場合の土中内部の根の挙動について解明する。またこの結果を踏まえて、形状と剛性を変化させた人工のプラントルーツ型基礎を提案し、これを構造物の基礎形式としてアンカータイプの引抜きに対してどのような挙動を示すかについて検討する。最終的には「植物の根に学ぶ基礎形式:プラントルーツ型基礎」の提案を目指すものである。 昨年度は、基本的には植物の根の構造解明とその引き抜き抵抗についての解明を行った。本年度は、その結果を踏まえて、異なる剛性からなる杭基礎モデルを構築し、いくつかの形状の異なる根のモデルについて引抜き試験を実施し、その挙動について考察を行った。ここでは、銅やアルミ材料を用いて、主根の傾斜および本数(3次元的)による土と基礎構造物の相互作用について、荷重―変位関係のみならず、X線CT装置より得られたCT画像を下に考察を行った。また同様に昨年でも用いた画像解析手法(DIC)を用いて、土中の変位やひずみを定量化することに成功した。本研究は新規性が高い内容である。特に実際の植物の根の構造を解明することは工学のみならず理学的にもその成果が期待される。また工学的にはこれまであまり変化のない基礎構造物分野に新たな考え方を提供したと言える。 なお本研究テーマについては、昨年に続き、今年もフランス(Polytech Clermont Ferrand)からの留学生1名を受け入れ、この学生の修士論文として成果を公表している。
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