研究課題/領域番号 |
17K18919
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浅見 泰司 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (10192949)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 都市の縮退 / 空き家 / コンパクト化 / 高齢者 / 介護 / 用途混在 / 中古住宅市場 / 需給バランス |
研究実績の概要 |
日本では都市の縮退化現象が広がっている。日本の都市縮退化を理解する上では、その都市における空き家数は重要な指標となる。そこで、空き家率の地域的な差異をもたらす社会経済的要因を分析した。都市雇用圏を3大都市圏、大規模中核都市雇用圏、小規模中核都市雇用圏、独立都市雇用圏の4つに分類し、若年人口比率、木造住宅評価額、4m未満道路接道率、木造建物比率、住宅平均床面積、デイケア施設から500m以内にある住宅比率など社会経済的要因指標および市街地環境指標を用いて、一般化線形混合モデルにより分析した。その結果、3大都市圏では若年人口比率、木造住宅評価額、デイケア施設から500m以内にある住宅比率が高いと空き家率が低い傾向が統計的に有意に見られた。大規模中核都市雇用圏では4m未満道路接道率が高いと空き家率が高くなる傾向が見られ、他の変数では空き家率を減らす傾向がみられた。このように、それぞれの分類ごとに空き家率を高める要因を同定した。その結果をもとに、都市縮退地域を求めた。 また、高齢者の社会参加を通して、介護状態の改善予測を行い、それによる自治体財政への効果をもとめた。また、居住環境と利便性を考慮した居住者の用途混在への評価を分析し、今後の都市のコンパクト化の可能性を土地利用混合の強化の可能性の観点から分析した。さらに、東京大都市圏郊外部の中古住宅市場を対象として、その需給バランスを定量的に分析した。距離帯による市場特性の違いが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
都市財政に大きな影響を与える都市の縮退化傾向の把握と介護費用に関して知見を高めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、事務組合などの自治体の協調による財政削減効果を定量的に分析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本格的な分析を次年度に行うために、今年度は使用額を節約した。次年度は、複数の都市を対象に詳細な都市財政データを収集し、その分析を行う。
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