研究課題/領域番号 |
17K18928
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
長谷川 兼一 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (50293494)
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研究分担者 |
福島 淳 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (00181256)
藤 晋一 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (40315601)
金澤 伸浩 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (40315619)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 家庭内真菌 / DNA解析 / 同定 / 定量化 / 評価手法 |
研究実績の概要 |
本研究は,DNA解析技術を用いた測定手法の開発(研究項目(1))と開発した測定手法の実用性の検証(研究項目(2))に取り組む。本年度は,以下に示す研究項目(1),(2)を進めた。 研究項目(1):DNA解析技術を用いた測定手法の開発 昨年度に採取した床ダストをDNA解析し,別途開発しているダンプネスの評価指標との整合させ,ダンプネス汚染が重篤な住宅群に特徴な真菌叢の特徴を統計的に分析した。既に,アメリカの研究グループが提示している住宅のダンプネスに関連深い真菌36種をターゲットとして,それらの真菌のOTUの割合に着目すると,ダンプネスの程度が高い群の中央値は他のランクと比べて大きいことがわかった。しかしながら,これらは日本の住宅の特徴を適切に反映している訳ではないため,真菌種の特徴を分析すると,Wallemia属やRhodotorula glutinisなどがダンプネス汚染が重篤な住宅に見られることがわかった。また,子供のアレルギー症状と関連深い真菌を分析し,Aspergillus niger,Candida gali,Penicillium armarii ,Aureobasidium melanogenum,Penicillium ornatum,Mycosphaerella punctiformisなどの真菌種が該当していることがわかった。 研究項目(2):開発した測定手法の実用性の検証 これまでの検討によりDNA解析による真菌同定,OTU算出までのプロトコールはほぼ確立したため,十分に実用的な測定・評価手法を得ている。現場での床ダストの捕集時には捕集用フィルタを新たに統一し,ラボでの分離作業の手間を省力化させることができた。定量化手法は試行段階であるが,解析方針を得ているため,次年度に再現性の確認を含めて手法を確立させる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現場での住宅の床ダストの捕集からDNA解析による評価値(OUT)の算出までのプロトコールを確立させた。床ダストの捕集フィルタも統一させることができたため,ラボでのダスト分離を省力化させることができた。OTUに基づく真菌叢の評価には相同性の点で課題が残されているが,今後の検証過程においてばらつきの程度を評価し,妥当性を確認する。
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今後の研究の推進方策 |
評価値(OTU)の再現性の確認と,定量化手法を適用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
DNA解析結果に基づいて研究打ち合わせする機会を当初の予定よりを確保することが難しく,また,見学の専門家との意見聴取の機会についても得ることができなかった。これは,解析結果の解釈に時間を要したためであるが,当該年度末までに学外発表用の論文作成を進める段階で内容を深めることができた。よって,次年度に結果に基づいた打ち合わせの機会を得る予定である。
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